第214回国会(臨時会)
質問第二九号 一極集中化した首都東京の災害対策に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年十月九日 牧山 ひろえ
参議院議長 尾辻 秀久 殿 一極集中化した首都東京の災害対策に関する質問主意書 現在、東京には、人口のほか、大部分の政府機関や企業本社が集中している。しかし、一世代内で南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの大地震が首都圏を直撃する可能性は極めて高く、さらに、東京は富士山の噴火や大規模水害等、複数の災害リスクを抱えていることを忘れるべきではない。ちなみに、南海トラフ巨大地震は「四十年以内に九十%」、首都直下地震は「三十年以内に七十%」という発生確率が示され、また、富士山は三十年に一回の頻度で噴火すると言われるが、宝永噴火以来既に三百年以上経過している。しかもこれらの巨大リスクは連動する可能性さえ指摘されている。 東京一極集中による災害時のリスクには、膨大な建物被害と人的被害、医療機関等の不足、帰宅困難者による混乱や二次災害、避難所不足、情報通信の停止、密集市街地における火災発生時の逃げ惑いの危険といった人口や資産の集中によるリスクがある。これに加え、首都中枢機能への影響によるリスクや、地域・地盤の脆弱性によるリスクなど、住民の生命、生活及び国家運営にも深刻な影響を及ぼす危険性が数多く指摘されている。 こうした東京一極集中の危険性については指摘されて久しくなったものの、一向に是正される様子がない。令和六年一月に総務省が公表した住民基本台帳人口移動報告(令和五年)によると、東京圏は十二万六千五百十五人の転入超過になったとされる。また、同年四月に総務省が公表した人口推計の結果(令和五年十月一日現在)によると、四十七都道府県で人口増加は東京のみになるなど、一極集中がむしろ加速している実態が浮き彫りになった。中央省庁の地方移転や首都機能のバックアップについても、文化庁の移転以来、目立った動きが見えない。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 自然災害に対する脆弱性を依然として抱えている東京の現状をこれ以上放置することは、余りにもリスクに目を塞いだ行為である。令和六年六月に政府が取りまとめた「地方創生十年の取組と今後の推進方向」では、「人口減少に歯止めをかけ、東京圏への過度な一極集中を是正するための対策は、我が国全体で戦略的に挑戦すべき課題」と指摘されており、国として、即座に実効性のある施策を講ずる必要があると考えるが、具体的にどのような対策を講ずるつもりか示されたい。 二 首都直下地震及び南海トラフ巨大地震については、令和五年から国による被害想定の見直しが始まっているが、この進捗状況を示されたい。また、地震災害に加え、東京において想定される富士山噴火や水害等による被害の現状に即したシミュレーション及びそれに基づく対策、計画策定等は行われているのか示されたい。 右質問する。 |