第214回国会(臨時会)
質問第二八号 政府備蓄米の無償交付制度の対象拡大に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年十月九日 牧山 ひろえ
参議院議長 尾辻 秀久 殿 政府備蓄米の無償交付制度の対象拡大に関する質問主意書 政府備蓄米は、日本国内で発生する可能性のある食料危機に備えて政府が保管している米であり、その目的は、国民を食料不足のリスクから守ることとされている。備蓄米制度は、法律により、一九九五年に制度化され、現在は、十年に一度の不作にも供給できる量である約百万トンを備蓄している。政府は毎年約二十万トンの米を買い入れ、約五年間の保管期間を過ぎた米は飼料用米などとして売却している。 この備蓄米を食育の推進を図ること等を目的として、無償で子ども宅食等の団体に交付する「政府備蓄米の無償交付制度」がある。今夏の米不足に当たっても、困難となっていた米の入手について大きな役割を果たした。子ども食堂などからの無償交付の申込みは、これまで年四回・全国十カ所に限って受け付けていたが、二〇二四年九月から通年・全都道府県に拡充され、大幅な運用改善が実施された。この変更は、基本的に歓迎すべき方向だと考える。 しかし、同制度の対象となるのは、食育の推進を図るという制度趣旨を根拠として、子ども食堂やフードバンクに限られ、現状、障害者施設等は対象外とされている。しかし、米価の高騰の影響を受け、主食である米の入手が困難になるのは子どもたちだけではなく、障害者も同様であり支援の必要性は変わらない。そのため、主食である米の入手に関してのセーフティネットとして、政府備蓄米の無償交付制度をより機動的かつ柔軟に活用することを検討すべきではないか。具体的には、無償交付の対象を障害者施設等にも拡張することを検討してはいかがか。 食育の制度趣旨を理由として交付対象の拡大に否定的な意見もあるが、食育に関しては、食育基本法で政府が活動を推進しており、地域や学校、保育所などあらゆる場所で活動を実践するよう求められている。食育は子どもだけを対象としたものではなく、国民全体が対象であることから考えると、食育の制度趣旨は、交付対象の拡大を否定する根拠にはならないと考える。むしろ、食料不足のリスク回避を目的とする備蓄米制度の趣旨にも適うと考えるが、政府の見解を示されたい。 右質問する。 |