質問主意書

第214回国会(臨時会)

質問主意書

質問第二〇号

フィリピンに対する日本の技術による貢献を通じたODAの推進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年十月七日

塩村 あやか


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   フィリピンに対する日本の技術による貢献を通じたODAの推進に関する質問主意書

 日本とフィリピンは、厳しい歴史を乗り越え、日本のODA等による真摯な取組の後押しもあって、友好的な関係を築いてきた。日本人戦没者に対する慰霊などのため二年連続でフィリピンを訪問したが、現地で人々と接する中でも同国が非常に親日国であることを感じた。

 他方、中国が軍事、経済等、様々な分野において影響力を拡大しており、フィリピンを訪問した際には、河川の護岸工事や橋の建設など、目に見える大型の援助が人々の心を捉えつつあることに留意する必要があると感じた。

 中国は南シナ海への軍事進出でフィリピンとは海洋問題を抱えつつも、中国の大型インフラ支援がフィリピンの人々から素直に歓迎されている現状を目の当たりにし、日本のODAをより有意義なものとしていくためには、地元の人々が真に求めるものが何なのかを十分に踏まえた上で支援を行っていかなければならないとの思いを新たにした。

 こうした問題意識を踏まえ、以下質問する。

一 戦後、日本のODAはフィリピンの経済成長や社会の発展に大きく寄与し、同国政府や人々もこれを好意的に受け止めてくれているが、近年の日本の対フィリピンODAは中国の案件に比して小ぶりであることは否めない。現在、国際社会において存在感を高めているフィリピンが日本の外交上の重要なパートナーとなっていることを踏まえ、予算措置を含めた対フィリピンODAの取組方針、特に近年重視している点を示されたい。

二 フィリピンでは、大気汚染防止法により有害ガスを排出する都市ゴミを焼却することができないため、スモーキーマウンテンとして知られるゴミ山が各地に存在する。実際に現場を視察したが、ゴミは埋められることもなく、分別もされないまま森林や渓谷に放置されているため、大量の虫が発生し、悪臭を放つなど、周辺住民にとって深刻な健康問題と環境問題が生じている。

 そうした中、同国のダバオでは、日本の支援でダイオキシンを出さない環境型の焼却炉の建設計画が進んでいたが中断しているとのことであった。当該建設計画の中断理由を示されたい。

 また、現地では、当該焼却炉がダイオキシンを出さないことについて理解が追い付いておらず、市民団体から反対の声があるとも聞いたが、政府として当該状況を把握しているか。建設計画再開に向けた方針を示されたい。

三 ダバオだけでなく、戦時中に日本兵の駐屯地でもあった、太平洋に面する小さな地方都市ゼネラルナカールでも、市長からゴミ山問題の現状について訴えを聞くなど、ゴミ山から生じる健康問題と環境問題はフィリピン国内の至る所で抱えている問題であり、その解決に向けたニーズは非常に高いと感じた。政府は、ゼネラルナカールのそうした現状を把握しているのか。また、ゼネラルナカールのようにゴミ山問題の解決ニーズがある自治体等をどう把握していくのか、政府の見解を示されたい。

四 日本はダイオキシンを発生させない焼却炉の技術を持っており、ダバオで中断している建設計画の再開も含めゴミ山問題の解決に積極的に貢献すべきである。このように、これからの日本のODAは、地元の人々が切実に求める問題に対して、日本の強みである技術により環境問題等に貢献することを通じて、人々がその意義を実感するようなものとすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。