質問主意書

第214回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一六号

英国上院議員が日本政府による家庭連合への解散命令請求について英国政府の裁判事例を根拠に反対意見を表明している件に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年十月四日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   英国上院議員が日本政府による家庭連合への解散命令請求について英国政府の裁判事例を根拠に反対意見を表明している件に関する質問主意書

 世界日報(二〇二三年十月十一日)によると、英国上院(貴族院)のバロネス・ヴェルマ議員は、二〇二三年十月六日に上川陽子外相宛てに書簡を送り、日本政府が検討する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)(以下「家庭連合」という。)への解散命令請求に「深い懸念」を表明したという。同議員によると、英国政府は約四十年前に家庭連合の法人格を剥奪するための裁判を数年続けた末に、「組織的な反対派が提出した大量の虚偽で誤解を招く証言に基づいていた」として訴えを取り下げ、英国政府側が四百七十五万ポンド(約八億六千万円)相当を支払うことになったという。同議員は「(英日)両者のケースには憂慮すべき類似点があるように見える」と指摘し、日本政府に同じ過ちを繰り返さないよう求めた。

 ヴェルマ議員が日本の法律を精査したところ、家庭連合への解散命令請求を正当化する理由は見当たらず、解散命令請求は日本国憲法第二十条が保障する信教の自由に対する「深刻な侵害」であり「国際社会における日本の地位を著しく危うくするだろう」と警告した。

 ここで注目すべきヴェルマ議員の指摘は、英国政府における家庭連合への裁判で「組織的な反対派が提出した大量の虚偽で誤解を招く証言に基づいていた」ということである。家庭連合の信者は「組織的な反対派」による拉致監禁・強制棄教(ディプログラミング)の被害を受けており、強制的に棄教させられた者が背教者となって「大量の虚偽で誤解を招く証言」をしているケースが多数認められるのである。

 日本において家庭連合に対する「組織的な反対派」とは、家庭連合と裁判等で対立し、解散を強く要求してきた左翼過激派系弁護士集団「全国弁連」(全国霊感商法被害対策弁護士連絡会)であるが、全国弁連の弁護士は宮村峻氏や一部のキリスト教牧師らによる拉致監禁・強制棄教に深く関わっており、強制棄教させられた多数の元信者を利用して家庭連合への裁判を起こす「脱会ビジネス」を展開している。彼らが裁判やメディアで提示する証言等は、ディプログラミングによって吹き込まれた悪意に満ちた家庭連合への虚偽情報である可能性も否定できず、そのまま信用することはできないものである。

 家庭連合は長年にわたって拉致監禁・強制棄教事件の被害について政府に訴え、二〇〇〇年四月二十日の衆議院決算行政監視委員会では自民党の桧田仁衆議院議員によって質疑がなされたが、その後も同事件は継続して各地で多発した。二〇二四年五月十三日の参議院行政監視委員会では拉致監禁の被害者である後藤徹氏の事例(二〇一五年に最高裁で勝訴確定)や「脱会屋」と呼ばれる宮村峻氏等の事例を挙げて質疑し、警察庁及び法務省刑事局から答弁いただいたところである。

 英国政府において、家庭連合の宗教法人格を剥奪する裁判を通して見えた「組織的な反対派」の実態等につき、ヴェルマ議員は同じ自由主義国家である日本政府に対して非常に思慮深く、懇切な助言をもって伝えてくれているのであるから、日本政府には同議員の助言を聞き入れていただきたい。

 以上を踏まえ、以下質問する。

一 ヴェルマ議員は、上川陽子外務大臣に書簡を送ったとのことであるが、その書簡の趣旨は政府内で承知しているものか。また、英国で起こされた家庭連合に対する法人格剥奪の裁判の経過及びその結果について調査した内容があれば、詳細を示されたい。

二 家庭連合に対して強く解散を求めてきた組織である「全国弁連」が政府の意思決定に関与している件については、第二百十三回国会の質問主意書(質問第一四一号)においても言及した。全国弁連は政府機関でも調査機関でもなく、家庭連合信者への拉致監禁・強制棄教に長年深く関わってきた左翼活動家の集団である。

 政府が全国弁連の意見や提出資料のうち、家庭連合に関する「被害」の内容について確たる証拠もなく「元信者」「被害者」と称する人々の一方的な証言をそのまま無批判に信じ、それをもって家庭連合を悪質な団体と決めつけることについては慎重になる必要があると考える。

 世界日報(二〇二四年二月十日)によると、家庭連合信者に対する拉致監禁・強制棄教の被害については、サンパウロ州報道協会会長のセルジオ・ヘドー氏が「二十世紀最大の人権侵害だ」と表現しているほど過酷で長期間続いた被害であることが分かる。

 政府は拉致監禁・強制棄教事件に関与してきた全国弁連の意見ではなく、家庭連合側の主張にも公平に耳を傾け、ヴェルマ議員の助言を受け入れて家庭連合への解散命令請求を取り下げるべきと思われるが、政府の見解を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。