質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第二三五号
  令和六年七月二日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出新制度における転籍の在り方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出新制度における転籍の在り方に関する質問に対する答弁書

一について

 我が国に在留する外国人については出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)により在留資格が定められており、外国人の我が国における在留に対しこのような制限を加えることについては、昭和五十三年十月四日最高裁判所大法廷判決にもあるように、憲法第二十二条に違反するものではないが、育成就労制度においては、令和五年十一月三十日に技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議が取りまとめた「最終報告書」(以下「最終報告書」という。)に記載されている「人材育成の実効性を確保するための一定の転籍制限は残しつつも、人材確保も目的とする新たな制度の趣旨を踏まえ、外国人の労働者としての権利性をより高める観点」を踏まえ、育成就労外国人(出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律(令和六年法律第六十号)による改正後の外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号。以下「法」という。)第二条第四号に規定する育成就労外国人をいう。)本人の希望により、一定の要件の下で、育成就労実施者(法第二条第七号に規定する育成就労実施者をいう。)を変更することを認めることとしている。

二並びに三の1及び2について

 御指摘の「本人の意向による転籍の自由を制限する期間」については、最終報告書において、「転籍が認められることによって人材育成への支障や人材流出が生じないかという懸念があり、地方や中小零細企業等への配慮の観点からも、急激な変化を緩和するための措置を検討する必要がある」ことから、「「同一の受入れ機関において就労した期間が一年を超えていること」という転籍の要件」については、「当分の間、受入れ対象分野によっては一年を超える期間を設定することを認めるなど、必要な経過措置を設けることを検討する」とされたことを踏まえ、「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議最終報告書を踏まえた政府の対応について」(令和六年二月九日外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議決定。以下「関係閣僚会議決定」という。)において、「当分の間、各受入れ対象分野の業務内容等を踏まえ、受入れ対象分野ごとに一年から二年までの範囲内で設定する」との方針で検討を進めることとされたことから、法第九条の二第四号イにおいて、一年以上二年以下の範囲内で主務省令で定めることとしたものである。そのため、同号イにおいて「当分の間」とは規定していないが、いずれにせよ、政府としては、このような関係閣僚会議決定の方針に沿って、同号イの主務省令で定める期間を検討していく予定である。

三の3及び4について

 御指摘の「具体的な期間」については、現時点で具体的に特定の期間を想定しているものではないが、育成就労制度を所管する法務省及び厚生労働省において、育成就労制度の施行の状況等を踏まえ、今後検討していくこととなる。