第213回国会(常会)
内閣参質二一三第二三二号 令和六年七月二日 内閣総理大臣 岸田 文雄
参議院議長 尾辻 秀久 殿 参議院議員牧山ひろえ君提出ゼロフィー(手数料ゼロ)の推進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員牧山ひろえ君提出ゼロフィー(手数料ゼロ)の推進に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第三十九条の規定により、労働者の募集に関し、労働者から報酬を受けてはならないこととされているところ、同条の労働者には、外国人労働者も含まれるものである。なお、御指摘の「来日する技能実習生」について、御指摘のように「リクルート費用を本人負担させてはならないこと」については、同条の規定によるものではなく、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号。以下「法」という。)第二十七条第一項の規定により、技能実習制度において、監理団体(法第二条第十項に規定する監理団体をいう。)は、技能実習職業紹介事業(法第二十七条第一項に規定する技能実習職業紹介事業をいう。)を行うことができることとされているところ、法第二十八条第一項において、団体監理型技能実習生等(法第二条第九項に規定する団体監理型技能実習生等をいう。以下同じ。)から手数料又は報酬を受けてはならないこととされていることによるものである。 二の1について お尋ねについて、技能実習制度においては、各国が御指摘の「ILO百八十一号条約」を締結しているか否かにかかわらず、我が国との間で二国間の技能実習制度に関する協力覚書(以下「覚書」という。)を作成する国との間で、協議を行い同意が得られた場合は、当該覚書において、送出機関(法第二十三条第二項第六号に規定する外国の送出機関をいう。以下同じ。)の各国における認定基準として、団体監理型技能実習生等から徴収する手数料その他の費用について、算出基準を明確に定めて公表し、当該手数料その他費用の詳細について団体監理型技能実習生等に十分に理解をさせるために説明することとすることで、適正な送出しを担保しているところであり、また、「ILO百八十一号条約」を締結するか否かについては、各国においてそれぞれの状況等を踏まえて検討及び判断されるべきものであることから、御指摘のように「事実上手数料徴収を放任してきた」及び「相手国の取扱いを通じて実質的にILO百八十一号条約に違反する事態を容認している」とは考えていない。 二の2について お尋ねの趣旨が明らかではないが、いずれにせよ、政府としては、他国による御指摘の「ILO百八十一号条約」の解釈についてお答えすることは困難である。 三の1について お尋ねの「ILO百八十一号条約の趣旨を厳格に実践する」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「ILO百八十一号条約」を締結するか否か、また、いかなる国内法を制定するかについては、ベトナムを始めとした各国において、それぞれの状況等を踏まえて検討及び判断されるべきものであると考えており、二の1についてで述べたところも踏まえながら、引き続き適切に対応してまいりたい。 三の2について お尋ねの「打診や折衝を行ったことはあるか」を含め、外交上のやり取りについては、相手国との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。 三の3について お尋ねについては、技能実習制度においては、二の1についてで述べたとおり、我が国との間で覚書を作成する国との間で、当該覚書において、送出機関の各国における認定基準として、団体監理型技能実習生等から徴収する手数料その他の費用について、算出基準を明確に定めて公表し、当該手数料その他費用の詳細について団体監理型技能実習生等に十分に理解をさせるために説明することとしているところ、当該認定基準に係る御指摘の「記述」については、御指摘の「ILO百八十一号条約」を締結しているか否かにかかわらず、協議を行い両国が同意すれば、御指摘のように「変わらない」ものとなるものである。なお、御指摘のモンゴル国において、覚書に基づく措置に当たって、国内法をどのように執行するか等については、同国において、その状況等を踏まえて検討及び判断されるべきものと考えている。 四について 御指摘の「ドイツのような毅然とした姿勢」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねにお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、我が国においては、技能実習制度に係る手数料の徴収等に関し、二の1についてで述べたとおり、適切に対応していると考えており、今後とも、適切に対応してまいりたい。 |