第213回国会(常会)
内閣参質二一三第二三一号 令和六年七月二日 内閣総理大臣 岸田 文雄
参議院議長 尾辻 秀久 殿 参議院議員牧山ひろえ君提出犯罪被害給付制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員牧山ひろえ君提出犯罪被害給付制度に関する質問に対する答弁書 一について 御指摘の「犯罪被害者が民事訴訟で加害者から損害賠償金を得られることとなった場合、犯罪被害給付制度で得た金銭が相殺される運用」の意味するところが必ずしも明らかではないが、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和五十五年法律第三十六号。以下「法」という。)第八条第一項において、「犯罪被害を原因として犯罪被害者又はその遺族が損害賠償を受けたときは、その価額の限度において、犯罪被害者等給付金を支給しない」こととされているとともに、同条第二項において、「国は、犯罪被害者等給付金を支給したときは、その額の限度において、当該犯罪被害者等給付金の支給を受けた者が有する損害賠償請求権を取得する」こととされており、また、法第三条の規定に基づき支給される犯罪被害者等給付金は、社会の連帯共助の精神に基づき、法第一条に規定されているとおり、「犯罪行為により不慮の死を遂げた者の遺族又は重傷病を負い若しくは障害が残つた者の犯罪被害等を早期に軽減するとともに、これらの者が再び平穏な生活を営むことができるよう支援するため」のものであると解している。 二について 御指摘の「損害回復及び経済的補償を受ける権利」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。 三について 前段のお尋ねについては、法第八条第二項において、国は、犯罪被害者等給付金を支給したときは、その額の限度において、当該犯罪被害者等給付金の支給を受けた者が有する損害賠償請求権を取得することとされており、「政府が犯罪被害者の方々に給付を行った後、政府から加害者に求償することにはなっていない」との御指摘は当たらない。 後段のお尋ねについては、御指摘の「有識者検討会」で示された「いかなる経済的支援制度をとったとしても、加害者の責任が減じられるわけではなく、また、加害者にそのように感じさせてはならない」といった意見も踏まえつつ、加害者の損害賠償責任の履行に向けた取組について、引き続き、政府全体で必要な検討を行ってまいりたい。 四について お尋ねの「犯罪被害者に関する統計作成やヒアリングを行い、その結果を政府の施策に反映」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「犯罪被害者等のための施策の推進に関する業務の基本方針」(令和五年九月二十六日閣議決定)の下で、法務省においては、その所掌事務の範囲内で犯罪被害者等のための施策を実施しており、政府としては、引き続き、関係府省庁が連携し、政府全体で犯罪被害者等のための施策を効果的かつ効率的に推進してまいりたい。 |