質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第二二九号
  令和六年七月二日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出令和五年度の入管難民法改正後の動向に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出令和五年度の入管難民法改正後の動向に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねの「その後の進捗」については、令和五年十一月九日の参議院法務委員会において、小泉法務大臣が「作業の進捗は、鋭意進めているところでございますけれども、個別の事案ごとにもう事情が違う、スピードも違ったりしますので、在留特別許可がまだなされていない方々の心情に配慮するという必要性も勘案しまして、作業の途中経過で、もう今何件何件ということは申し上げることは差し控えたいと思います」と答弁しているとおりである。

 また、お尋ねの「最終的な集約の予定など」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「対応方針」に関し、令和四年十二月末時点における送還忌避者のうち我が国で出生した御指摘の「子ども」二百一人とその家族に対する在留特別許可の許否の判断に関する手続が終了する時期は、現時点では未定であり、当該判断の結果を公表する時期についてお答えすることは困難である。

一の2について

 御指摘の「新たなガイドライン」は、在留特別許可の許否の判断の透明性を高めるため、積極要素又は消極要素として考慮され得る事情を例示的に示したものにとどまり、在留特別許可に関する従来の判断の在り方を変えるものではないところ、在留特別許可の許否の判断については、引き続き、個々の外国人ごとに、諸般の事情を総合的に勘案して行うこととなる。

二の1について

 お尋ねの「当時答弁を回避した事実関係」の指すところが必ずしも明らかではないが、大阪出入国在留管理局に勤務していた常勤医師については、令和五年一月二十日に酒気を帯びた状態で勤務に従事したこと及び当該医師の適格性を判断するための手続における上司の命令に従わなかったことを理由として、同年八月三十一日付けで当該医師に対して停職一月間の懲戒処分を行い、当該医師は同日付けで辞職した。これ以上の詳細については、当該職員のプライバシー等に関わるものであることから、お答えすることは差し控えたい。

二の2について

 政府としては、令和五年六月に成立した出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律(令和五年法律第五十六号)による改正後の出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)において、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)に基づく兼業の制限に関する特例を設け、入国者収容所又は地方出入国在留管理局(以下「入国者収容所等」という。)の職員である医師又は歯科医師(以下「医師等職員」という。)について、出入国在留管理庁長官の承認を受けることにより、部外診療(病院又は診療所その他これらに準ずるものとして内閣官房令・法務省令で定める施設(これらの職員が国家公務員の身分を有しないものに限る。)において行う医業又は歯科医業(当該医師等職員が団体の役員、顧問又は評議員の職を兼ねて行うもの及び自ら営利を目的とする私企業を営んで行うものを除く。)をいう。)を行うことができることとした。

 この改正は、令和六年六月十日に施行されたものであるが、入国者収容所等において適切な医療上の措置を講ずるために必要な医師等職員の能力の維持向上につながるものであり、ひいては医師等職員の継続的かつ安定的な確保にも資するものであると考える。