質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第二〇八号
  令和六年七月二日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員水野素子君提出憲法の有権解釈に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員水野素子君提出憲法の有権解釈に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「有権解釈権」の意味するところが必ずしも明らかではないが、憲法の解釈を最終的に確定する権能を有する国家機関は、憲法第八十一条によりいわゆる違憲立法審査権を与えられている最高裁判所である。他方、行政府においても、いわゆる立憲主義の原則を始め、憲法第九十九条が公務員の憲法尊重擁護義務を定めていることなども踏まえ、その権限を行使するに当たって、憲法を適正に解釈していくことは当然のことであり、このような行政府としての憲法の解釈については、第一次的には法律の執行の任に当たる行政機関が行い、最終的には、憲法第六十五条において「行政権は、内閣に属する。」と規定されているとおり、行政権の帰属主体である内閣がその責任において行うものである。行政府としての憲法の解釈は、国会及び裁判所を拘束するものではない。

二について

 お尋ねの「各省庁の行政解釈」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、法令の解釈については、当該法令を所管する各省各庁においてお尋ねのように「疑義がある」場合及び「差異がある場合」における検討等を含め、第一次的には、当該各省各庁においてこれを行うものである。その上で、内閣法制局は、内閣法制局設置法(昭和二十七年法律第二百五十二号)に基づき、「閣議に附される法律案、政令案及び条約案を審査し、これに意見を附し、及び所要の修正を加えて、内閣に上申すること」、「法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べること」等を所掌事務として内閣に置かれた機関であり、行政府による行政権の行使について、憲法を始めとする法令の解釈の一貫性や論理的整合性を保つとともに、法律による行政を確保する観点から、内閣等に対し意見を述べるなどしてきたものであるところ、同局としては、法令の解釈について各省各庁から求めがあれば、これに応じて、意見を述べることとしている。

三について

 お尋ねの「立法解釈」及び「優越する」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。