第213回国会(常会)
内閣参質二一三第二○五号 令和六年七月二日 内閣総理大臣 岸田 文雄
参議院議長 尾辻 秀久 殿 参議院議員石川大我君提出共同親権とドメスティック・バイオレンス等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員石川大我君提出共同親権とドメスティック・バイオレンス等に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねについては、個別具体的な事案に応じて裁判所において判断されるものであることから、政府としてお答えすることは困難である。 なお、民法等の一部を改正する法律(令和六年法律第三十三号。以下「改正法」という。)による改正後の民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百十九条第七項は、裁判所が親権者を定めるに当たって、父若しくは母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき又は父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無、協議が調わない理由その他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるときは、父母の一方を親権者としなければならない旨を定めており、政府としては、その趣旨及び内容を適切かつ十分に周知していく考えである。 二について お尋ねの「トラウマインフォームドケア・・・に習熟している者」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、裁判所の人的体制の整備や裁判官等の専門性の向上については、改正法の趣旨を踏まえて、裁判所において適切に対応していくものと考えている。 三について 御指摘の「以上の意味での検証」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、家庭裁判所における事件の審理の在り方については、裁判所において検討されるべき事柄であると考えている。 四について お尋ねの「地方公共団体に注意喚起、技術的助言等の通知を発する等速やかに適切な措置を講じる」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、政府としては、改正法の趣旨及び内容を適切かつ十分に周知していく考えである。 五について 御指摘の「誤った理解の下に流布している状況」の意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。いずれにせよ、警察においては、配偶者間における子の養育等を巡る事案に係る被害の相談等があれば、法と証拠に基づき適切に対応しているものと認識している。 六の1について 前段のお尋ねについては、御指摘の「DV被害者に係る支援措置」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、ドメスティック・バイオレンス等の被害者の保護のための住民基本台帳に係る事務における支援措置(以下「支援措置」という。)の対象者の住民基本台帳の一部の写しの閲覧申出を拒否する処分に対して審査請求があった件数は、令和三年度が五件、令和四年度が十一件と承知しており、支援措置の対象者の住民票の写し、住民票記載事項証明書、除票の写し、除票記載事項証明書、戸籍の附票の写し及び戸籍の附票の除票の写しの不交付処分に対して審査請求があった件数は、令和三年度が二十七件、令和四年度が三十六件と承知している。 後段のお尋ねについては、お尋ねの「加害者の追跡行動を被害者に対するリーガル・アビューズ」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、各審査請求の個別具体的な内容については把握していないため、お答えすることは困難である。 六の2について 御指摘の「地方公共団体職員を威嚇する元配偶者等の行動」の実態については、把握していない。 六の3について 御指摘の「民法改正を受けてこのような行動が激化する」の具体的に意味するところが明らかではなく、また、お尋ねは仮定の質問であるため、お答えすることは困難である。 |