質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第二○四号
  令和六年七月二日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員川田龍平君提出令和六年能登半島地震と女川原子力発電所再稼働に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出令和六年能登半島地震と女川原子力発電所再稼働に関する質問に対する答弁書

一の1について

 令和六年能登半島地震による北陸電力株式会社志賀原子力発電所への影響を議題として原子力規制委員会が行った会合の名称及び開催日時は次のとおりである。

令和五年度第五十七回原子力規制委員会 令和六年一月十日十時三十分

令和五年度第六十三回原子力規制委員会 令和六年二月七日十時三十分

第六十四回技術情報検討会 同年三月二十七日十五時

令和六年度第六回原子力規制委員会 同年五月八日十時三十分

 また、お尋ねの「教訓はまとまったのか」及び「原子力施設に係る新規制基準に反映される事項」については、現時点で確認できている令和六年能登半島地震に関する情報からは、新規制基準(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「法」という。)及び法の規定に基づく原子力規制委員会規則等に定める基準をいう。以下同じ。)に取り入れるべき知見は得られていない。

一の2について

 令和六年能登半島地震の発生時において、北陸電力株式会社志賀原子力発電所一号炉及び二号炉は新規制基準を満たしていなかったことから、原子炉の運転を行っていなかったため、原子力規制委員会において、御指摘の「稼働していた場合の評価」を行う予定はない。

一の3について

 御指摘の「珠洲原発計画」は、法第四十三条の三の五第一項の許可に係る申請が行われていないことから、お尋ねの「評価」は行っていないほか、御指摘のように「評価するべき」とは考えておらず、また、その余のお尋ねについては、この「評価」を前提とするもの及び民間事業者の経営判断によるものであることから、お答えすることは困難である。

一の4について

 一の1についてでお答えしたとおり、現時点で確認できている令和六年能登半島地震に関する情報からは、新規制基準に取り入れるべき知見は得られておらず、御指摘のように「教訓を明らかにし、各原子力施設へ伝え、対応を求め実施状況を確認してから、原子力施設の再稼働を判断するべき」とは考えていない。

二の1について

 お尋ねの「主断層が動くことにより副断層として動く」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の発言は、能登半島の周辺の断層について述べたものであり、また、新規制基準に係る適合性審査においては、原子力発電所の敷地及び敷地周辺の断層については、詳細な調査を基に断層を抽出した上で評価し、将来活動する可能性がある断層等に当たるかどうかを認定しているほか、地域の特性を踏まえ、断層の長さ等の不確かさを考慮して、専門的見地に基づき地震動評価を行った上で、原子炉建屋等の重要な建物及び構築物の基礎地盤が地震時に当該建物及び構築物を支持できること並びに地震に伴う隆起、沈降等を含む変形により安全機能を損なわないことを確認している。

 また、原子力規制委員会としては、今後も令和六年能登半島地震に関する情報収集を行い、新規制基準に取り入れるべき知見がある場合にはどのように取り入れていくのかについて適切に判断していく考えであるが、一の1についてで述べたとおり、現時点において、新規制基準に取り入れるべき知見は得られていない。

二の2について

 「科学的特性マップ」(平成二十九年七月二十八日経済産業省資源エネルギー庁作成。以下「マップ」という。)において、「輸送面でも好ましい」「グリーン沿岸部」については、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成十二年法律第百十七号)第二条第十二項に規定する最終処分施設建設地の適地を示したものではなく、「それぞれの地域が処分場所として相応しい科学的特性を有するかどうかを確定的に示すものではなく、処分場所を選定するまでには、「科学的特性マップ」には含まれていない要素も含めて、法律に基づき段階的に調査・評価していく必要がある」との前提の下で、「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」地域のうち「輸送面でも好ましい」地域を示したものである。

 マップの見直しについては、その作成に当たって参照した文献の更新状況等を踏まえつつ、適切に対応してまいりたい。

三の1について

 御指摘の「計画上の留意事項等の説明会」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、内閣府は、「地域防災計画の充実に向けた今後の対応」(平成二十五年九月三日原子力防災会議決定)等に基づき、原子力発電所の所在する地域ごとに、関係府省庁、地方公共団体等を構成員等とする地域原子力防災協議会を設置し、同協議会において、地域防災計画及び避難計画の具体化のための支援を行うとともに、関係者への必要な説明を実施してきているところであり、引き続き、適切な説明に努めてまいりたい。

三の2について

 御指摘の「能登半島地震の最大震度七(千五百ガル以上)」及び「震度六強(八百三十~千五百ガル)」の意味するところが必ずしも明らかではないが、新規制基準における原子力施設が有すべき耐震性については、耐震重要施設(実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第五号)第三条第一項に規定する耐震重要施設をいう。以下同じ。)に大きな影響を及ぼすおそれがある地震動(以下「基準地震動」という。)による地震力に当該施設が耐えられること等を求めており、東北電力株式会社女川原子力発電所二号炉の新規制基準に係る適合性審査においては、最新の科学的及び技術的知見を踏まえ、各種の不確かさを十分に考慮して、水平方向の最大加速度が千ガル及び鉛直方向の最大加速度が六百ガルとなる地震動を基準地震動としていること並びに耐震重要施設について基準地震動による地震力に耐えられるよう設計していることを確認している。

三の3について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、三の1について及び三の2についてで述べたとおりであり、御指摘のように「人々の安全のために再稼働は一旦立ち止まり事業者へ対応をさせ、地元の人々へ事実をお知らせし、再稼働について再度判断を仰ぐべき」とは考えていない。