質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第二〇三号
  令和六年七月二日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員川田龍平君提出レプリコンワクチンに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出レプリコンワクチンに関する質問に対する答弁書

一及び二について

 御指摘の「レプリコンワクチン」及びその「想定される主な副反応」、「従来型のmRNAワクチン」並びに「最新の評価」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、令和五年十一月二十八日に医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「法」という。)第十四条第一項の規定に基づく製造販売の承認(以下単に「承認」という。)を行ったMeiji Seika ファルマ株式会社のコスタイベ筋注用(以下「コスタイベ」という。)については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の審査報告書(以下「審査報告書」という。)において、国内外の臨床試験の成績を評価した結果、その有効性については、「本剤の発症予防効果は示されている」及び「日本人に対する追加免疫を検討した・・・試験において、・・・実薬対照のコミナティに対して本剤の非劣性が検証された」と評価されており、また、その安全性については、御指摘の「有害事象の報告」も勘案した上で、「初回免疫の臨床試験において本剤群で認められた有害事象は、既承認RNAワクチンと概ね同様であり、追加免疫の臨床試験における対照薬コミナティとの比較では、有害事象の種類及び発現割合に大きな差異は認められていない。また、多くが軽度又は中等度の有害事象であったこと、年齢による安全性プロファイルの差異は認められなかったこと等から、十八歳以上の者における本剤の安全性については忍容可能と判断した。注目すべき有害事象のうち、本剤接種後に発現が認められたショック・アナフィラキシー関連有害事象については、いずれも軽度又は中等度の過敏症であり、忍容可能である。本剤はレプリコンを含むRNAワクチンであるが、有害事象の発現時期及び持続期間について、対照に比し遷延する等の明確な差異は認められていない」と評価されている。その上で、同月二十七日の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会において、審査報告書の内容も踏まえて審議が行われ、コスタイベを承認して差し支えないとされたことを受け、同月二十八日に厚生労働大臣が承認したものである。

三について

 御指摘の「背景」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、「世界で初めて日本において承認された」理由については承知していない。なお、コスタイベについては、令和五年四月二十八日にMeiji Seika ファルマ株式会社から承認の申請が行われたところ、一及び二についてで述べたとおり、独立行政法人医薬品医療機器総合機構による審査及び薬事・食品衛生審議会における審議を経て、同年十一月二十八日に承認を行ったものである。また、米国においては、令和六年六月二十一日現在において、御指摘の「承認」はなされていないものと承知している。

四について

 御指摘の「新工場が稼働する令和十年以降のコスタイベの製造計画、目標等」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業費補助金交付要綱」(令和四年二月十八日付け二〇二二〇二〇八財商第一号)に基づく「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」に係る交付申請書に記載された「製造計画」については把握しているところである。

五について

 御指摘の「レプリコンワクチンの開発、承認、接種状況」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、例えば、コスタイベについては、米国において「開発」されたものと承知しており、また、欧州においては既に「承認」に係る申請がなされているものと承知している。

六について

 前段のお尋ねについては、医薬品を開発している企業の商業上の秘密に関することであるため、お答えすることは差し控えたい。いずれにせよ、医薬品の法第十四条第十五項の規定による承認事項の一部変更申請に対しては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構における審査及び薬事審議会における議論等、適切な手続にのっとって対応していく考えである。

 後段のお尋ねについては、「標準的事務処理期間の設定等について」(昭和六十年十月一日付け薬発第九六〇号厚生省薬務局長通知)において、ワクチンを含めた医薬品の当該申請に対する「標準的事務処理期間」は一年と示している。

七について

 御指摘の「コスタイベ等のワクチン」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、一及び二についてで述べたとおり、コスタイベの有効性については「発症予防効果」を確認した上で承認しており、御指摘の「感染予防効果」は評価していない。

八について

 御指摘の「スパイクタンパク質の伝播」の意味するところが必ずしも明らかではないが、ワクチンの被接種者から当該ワクチンの接種により産生された物質等が拡散されて他の者に影響を与える事象と解すれば、当該事象が生ずるとの科学的知見は現時点ではないことから、現時点で確認できる範囲では当該事象についての調査は行われていないものと承知している。

 また、後段のお尋ねについては、その趣旨が必ずしも明らかではなく、また、御指摘の「レプリコンワクチン」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、例えば、コスタイベについて、当該事象が生ずるとの科学的知見は現時点ではないことから、御指摘のように「使用を中止するべき」とは考えていない。