第213回国会(常会)
内閣参質二一三第一九六号 令和六年七月二日 内閣総理大臣 岸田 文雄
参議院議長 尾辻 秀久 殿 参議院議員浜田聡君提出改正政治資金規正法の運用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員浜田聡君提出改正政治資金規正法の運用に関する質問に対する答弁書 一について 御指摘の「責任」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、令和六年五月二十三日の衆議院政治改革に関する特別委員会において、法案提出者が「代表者が、定期、随時の確認を行い、また、報告書提出の際の会計責任者による説明を受け、政治資金監査報告書に基づいて、会計責任者が規正法の規定に従って収支報告書を作成していることを確認をし、会計責任者に確認書を交付をしていれば、代表者が罰せられることはありません。ただ、一方で、今回の改正法案では、まず、会計責任者による収支報告書に関する代表者への説明におきまして、説明をしなかったとき、又は虚偽の説明をしたとき、更に代表者による確認を妨げたときは、刑事罰の対象となります。現行法に比べて、まず、会計責任者が虚偽記入をしたりとか不記載をしたりをする、そういったことを、確認書を交付する前の段階でしっかり防ぐことのできる仕組みになっております。その上で、代表者が確認書を交付した後に収支報告書に不記載や虚偽記入があった場合であっても、代表者が十分に確認をしないで確認書を交付したときや、不記載や虚偽記入について会計責任者との共犯になったときは、当然、代表者も罰せられることになります」と答弁したものと承知している。 いずれにせよ、犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づき個々に判断されるべき事柄であり、お答えすることは差し控えたい。 二について 御指摘の「その原資が公金であることから国に返還するべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、令和六年六月十二日の参議院政治改革に関する特別委員会において、法案提出者が「この政策活動費でありますけれども、支出をしたその毎年の収支報告書におきまして、項目別の金額、そして年月、これをその政党の収支報告書に併せて記載をするということになっております。したがって、政党から受けたこの政策活動費としての支出の金額とその使途である政治活動に関連する支出の金額の差額というものがその翌年の収支報告書でこれは明らかになります」及び「一年間の総収入金額から必要経費として政治活動のために支出した費用の総額を差し引いた残額、これにつきましては課税の対象になるということで、この政策活動費を原資とする政治活動に関連する支出として使われなかった金額は課税の対象になり得るというものであります」と答弁したものと承知している。 いずれにせよ、御指摘の「政策活動費」の在り方については、政党その他の政治団体の政治活動の自由と密接に関連する事柄であり、各党各会派において御議論いただくべき問題と考えている。 三について お尋ねについては、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律(昭和二十二年法律第八十号)に関するものであり、国会において御判断いただくべき事柄であると考えている。 四について お尋ねについては、その意味するところが必ずしも明らかではないが、二について及び三についてでお答えしたとおりである。 五について 御指摘の「政策活動費の項目ごとの使用金額、使用年月を十年後に公開することとしている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政治資金規正法の一部を改正する法律(令和六年法律第六十四号。以下「改正法」という。)による改正後の政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号。以下「新法」という。)第十三条の二第一項の規定により、政党に所属している衆議院議員又は参議院議員に係る公職の候補者は、当該政党からの支出で金銭によるものを受けたときは、当該政党からの支出に係る金銭に相当する金銭を充てて政治活動に関連してした支出について、当該支出に係る新法第十二条第一項第二号の総務省令で定める項目別の金額及び年月を当該政党の会計責任者に通知しなければならず、新法第十三条の二第二項の規定により、当該通知を受けた政党の会計責任者は、政治資金収支報告書の記載をするときは、当該通知に係る同条第一項に規定する政党からの支出について、同項の規定により通知された事項を併せて記載しなければならないとされ、新法第二十条第一項の規定により、総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、当該報告書が提出された年の十一月三十日までに当該報告書を公表するものとされ、新法第二十五条第一項の規定により、当該報告書に記載すべき事項の記載をしなかった者又は虚偽の記入をした者は、五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処することとされている。 六及び八について 御指摘の「政策活動費の項目ごとの使用金額、使用年月を十年後に公開することとしている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、改正法附則第十四条において、新法第十二条第一項の報告書が新法第二十条第一項の規定により公表された日から十年を経過した後に政策活動費の支出に係る金銭に相当する金銭を充てて政治活動に関連してした支出の状況に係る領収書、明細書等の公開(そのための保存及び提出を含む。)をするものとし、その制度の具体的な内容については、早期に検討が加えられ、結論を得るものとするとされており、お尋ねについては、今後、各党各会派において議論されるものと承知している。 七について お尋ねについては、令和六年六月十八日の参議院政治改革に関する特別委員会において、岸田内閣総理大臣が自由民主党総裁として、「政活活動費の使途の公開についてですが、国民の信頼確保に資するもので、ものとする必要がある一方で、政党の活動に関わりのある個人のプライバシー、あるいは企業、団体の営業秘密の侵害であったり、政党の戦略的な運営方針が他の政治勢力や諸外国にも明らかになったりするおそれにも配慮する必要がある、こうした議論をこの国会でも行ってまいりました。この点、我が党の案では、政策活動費を私的利用しているのではないか等の国民の疑念の払拭に資するよう、政活活動費がどのような目的でいつ幾ら使用されたかについて、毎年、収支報告書上明らかにすることとしておりますが、具体的な日付まで直ちに公開した場合には、収支報告書に記載された目的や当該日付付近における社会の様々な出来事との関係において具体的な支出先が推知され、予期せぬプライバシーの侵害等につながるおそれがある、そのためにこの毎年の報告の対象は使用の年月日ではなく、使用の年月としたものであります」と答弁したものと承知しているが、いずれにせよ、政府としては、新法にのっとり適切に業務を執行してまいりたい。 |