第213回国会(常会)
内閣参質二一三第一九四号 令和六年六月二十八日 内閣総理大臣 岸田 文雄
参議院議長 尾辻 秀久 殿 参議院議員田島麻衣子君提出世界初の国際英語力調査であるPISA二〇二五FLAへの不参加と世界で活躍できる人材育成の教育政策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員田島麻衣子君提出世界初の国際英語力調査であるPISA二〇二五FLAへの不参加と世界で活躍できる人材育成の教育政策に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねの「中等教育段階における生徒が身に付けるべき英語力の定義」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「CEFR」(以下単に「CEFR」という。)も参考として、中学校学習指導要領(平成二十九年文部科学省告示第六十四号)において、外国語科の目標について「外国語による聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの言語活動を通して、簡単な情報や考えなどを理解したり表現したり伝え合ったりするコミュニケーションを図る資質・能力を・・・育成することを目指す。」等と規定し、また、高等学校学習指導要領(平成三十年文部科学省告示第六十八号)において、外国語科の目標について「外国語による聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの言語活動及びこれらを結び付けた統合的な言語活動を通して、情報や考えなどを的確に理解したり適切に表現したり伝え合ったりするコミュニケーションを図る資質・能力を・・・育成することを目指す。」等と規定しているところである。 二について お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、文部科学省が実施している「英語教育実施状況調査」(以下「英語調査」という。)においては、CEFRに基づく英語力に係る目標を設定し、中学生及び高校生の英語力を把握しているところであり、これを踏まえ、「教育振興基本計画」(令和五年六月十六日閣議決定)において、「「英語教育改善プラン」の策定とそれに基づく計画的な取組を促し、英語教育実施状況調査等を通して継続したフォローアップを行うことにより、PDCAサイクルを着実に機能させ、生徒や教師の英語力や指導力の向上を図る。」としているところである。 三について 御指摘の「主観的な判断」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、英語調査においては、CEFRに基づく英語力に係る目標を達成していると思われる中学生及び高校生の割合について、当該目標の達成に係る教師の判断の根拠として、例えば、「二技能または三技能を測る試験におけるスコア」等の客観的指標を活用することとしているところであり、この「手法」に「問題点」があるとは考えていない。文部科学省としては、引き続き、英語調査について必要な改善を行いつつ、中学生及び高校生の英語力について継続的にフォローアップを行ってまいりたい。 四について 文部科学省が実施している「全国学力・学習状況調査」においては、平成三十一年度から悉(しっ)皆調査に英語に関する調査を導入し、生徒の聞くこと、読むこと、話すこと及び書くことに係る英語力を把握するとともに、令和三年度から経年変化分析調査に英語に関する調査を導入し、その経年変化を把握することとしている。 五について お尋ねについては、令和五年四月二十一日の閣議後記者会見において、永岡文部科学大臣(当時)が「ヨーロッパを中心にですね二十か国程度しかこの英語の調査というものには参加をしません。特に、言語環境ですとか社会文化的背景が似通ったアジア・・・につきましては、台湾しか参加を表明していないということがございます。本調査の継続的な実施が確定的ではないということもありますし、また仮にですね、調査を実施するということになりましても、次回やはり調査というのは二〇三三年となっていることがあります。また学校や生徒への調査結果の返却がないということもありましてそんな中でですね、この調査の参加によって学校側の負担が更に増加をいたしまして、調査実施校の確保というものが難しくなる恐れがあることなどから、本調査の結果から得られる我が国の英語教育の改善に向けた政策的示唆は多くないと考えられまして、参加をしないことといたした次第でございます」と述べたとおりである。 |