質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第一九二号
  令和六年六月二十八日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出我が国の「移民政策」と外国人労働者に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出我が国の「移民政策」と外国人労働者に関する再質問に対する答弁書

一について

 御指摘の答弁書(令和六年三月二十六日内閣参質二一三第七三号)一についてでは、「移民」及び「移民政策」という言葉は様々な文脈で用いられており、それらの定義について一概にお答えすることは困難であることをお答えしたものであり、御指摘のように「「国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人を家族ごと期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策」を「移民政策」としている」ものではないため、政府としては、御指摘のように「「移民」の定義は、論理的にみて、「期限を設けずに日本に定住し、家族を帯同して生活する外国人」を指す」とは考えていない。

二について

 御指摘の「永住権を取得する道を開く」、「この実態を無視する」、「移民政策の長期的な社会的影響についての議論」及び「透明性のある議論」の意味するところが必ずしも明らかではないが、育成就労制度及び特定技能制度(出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律(令和六年法律第六十号。以下「改正法」という。)による改正後の外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号)及び出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)に基づく育成就労制度及び特定技能制度をいう。三についてにおいて同じ。)においては、「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議最終報告書を踏まえた政府の対応について」(令和六年二月九日外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議決定。以下「関係閣僚会議決定」という。)において示された方針に従い、有識者・労使団体等で構成する新たな会議体を設置し、同会議体の意見を踏まえて、判断の中立性や透明性を確保しつつ、受入れ見込数や受入れ対象分野の設定等を行うことを想定しており、同会議体における検討状況等を国民に丁寧に説明するなどして、制度の適切な運用に努めてまいりたい。

三について

 育成就労制度及び特定技能制度においては、二についてで述べたとおり、関係閣僚会議決定において示された方針に従い、新たな会議体を設置し、同会議体の意見を踏まえて、判断の中立性や透明性を確保しつつ、改正法の施行までの間に、受入れ見込数や受入れ対象分野の設定等を行うことを想定しており、このような手続を通じて、御指摘の懸念に対する検討を行うとともに、改正法の施行後においても、制度の施行状況等を踏まえて、引き続き、検討を行っていく予定である。

四について

 前段のお尋ねについて、育成就労制度においては、二についてで述べたとおり、関係閣僚会議決定において示された方針に従い、新たな会議体を設置し、同会議体の意見を踏まえて、判断の中立性や透明性を確保しつつ、受入れ見込数や受入れ対象分野の設定等を行うことを想定しており、その際には、現行の特定技能制度と同様に、有効求人倍率、雇用動向調査その他の公的統計又は業界団体を通じた所属企業への調査等の指標を踏まえて、受入れ見込数や受入れ対象分野の設定等を行うことを想定している。

 後段のお尋ねについては、お尋ねの「これまでの特定技能制度で実施された具体的な評価結果や事例」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現行の特定技能制度においては、有効求人倍率、雇用動向調査その他の公的統計又は業界団体を通じた所属企業への調査等の指標を踏まえ、日本人の雇用機会の喪失及び処遇の低下を防ぐ観点等から、生産性向上や国内人材確保のための取組を行った上でなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野及び当該分野における向こう五年間の受入れ見込数を設定している。

五について

 お尋ねについては、御指摘の「外国人労働者の増加による経済効果と社会的影響」及び「五年後には外国人労働者が約三百万人に達すること・・・の社会への影響」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、特定技能制度は、日本人の雇用機会の喪失及び処遇の低下を防ぐ観点等からの適切な受入れ見込数等を設定し、運用することにより、生産性向上や国内人材確保のための取組を行った上でなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野における人材確保に貢献してきたものと認識しており、引き続き、制度の適切な運用に努めてまいりたい。