質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第一七一号
  令和六年六月二十一日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員福島みずほ君提出改正民法の運用におけるDV・虐待ケースの取り扱いに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出改正民法の運用におけるDV・虐待ケースの取り扱いに関する質問に対する答弁書

一の1について

 民法等の一部を改正する法律(令和六年法律第三十三号。以下「改正法」という。)による改正後の民法(明治二十九年法律第八十九号。以下「改正後民法」という。)第八百二十四条の二第一項第三号の「子の利益のため急迫の事情があるとき」とは、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては、適時に親権を行使することができず、その結果として、子の利益を害するおそれがあるような場合をいい、いかなる場合がこれに該当するかについては、個別具体的な事案に応じて判断されるものであるため、一概にお答えすることは困難である。

一の2について

 前段のお尋ねについては、「支援に当たる行政機関や民間団体の専門性に基づくもの」の意味するところが明らかでないため、お答えすることは困難である。

 後段のお尋ねについては、一の1についてで述べた改正後民法第八百二十四条の二第一項第三号の趣旨及び内容を適切かつ十分に周知していく考えである。

一の3について

 お尋ねの「濫訴に該当する」かどうかについては、個別具体的な事案に応じて裁判所において判断されるものであることから、政府としてお答えすることは困難である。

二について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、改正後民法第八百二十四条の二第一項第三号の「子の利益のため急迫の事情があるとき」に該当するかどうかについては、子が置かれた状況や父母の意見対立の状況等の様々な事情を考慮して、個別具体的な事案に応じて判断されるものであると考えている。

三について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、裁判所の人的体制の整備や裁判官の専門性の向上については、改正法の趣旨を踏まえて、裁判所において適切に対応していくものと考えている。

四及び五について

 お尋ねについては、個別具体的な事案に応じて裁判所において判断されるものであることから、政府としてお答えすることは困難である。

 なお、改正後民法第八百十九条第七項第二号は、裁判所が親権者を定めるに当たって、父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無、協議が調わない理由その他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるときは、父母の一方を親権者としなければならない旨を定めており、政府としては、その趣旨及び内容を適切かつ十分に周知していく考えである。

六について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、各方面からの様々な意見を踏まえつつ、改正法の円滑な施行に努めてまいりたい。