質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第一七〇号
  令和六年六月二十一日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員石垣のりこ君提出行政文書の存否を明らかにすることが公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすことに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石垣のりこ君提出行政文書の存否を明らかにすることが公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすことに関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の審査請求については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号。以下「情報公開法」という。)第四条第一項に規定する開示請求(以下「開示請求」という。)に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、個別具体的な事件における捜査内容を明らかにし、又は推知させることになり、将来の刑事事件の捜査において、捜査内容や捜査機関の関心事項が事前に推知され、それを踏まえた罪証隠滅が容易となる可能性があるなど、将来の刑事事件の捜査に支障が及ぶおそれがあり、情報公開法第五条第四号に掲げる「公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」を開示することとなるものと判断し、また、令和五年九月十四日の大阪地方裁判所判決も同様の判断を示していると承知していることから、棄却したものである。

二及び四について

 御指摘の「情報公開・個人情報保護審査会の答申を遵守するよう義務付けていない」及び「情報公開・個人情報保護審査会による判断にのっとった裁定を行うことを処分庁に義務付ける」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、情報公開・個人情報保護審査会が全ての行政分野における情報公開法第十条第一項に規定する開示決定等(以下「開示決定等」という。)又は開示請求に係る不作為についての行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二条及び第三条の規定による審査請求(以下「審査請求」という。)について同法第九条第一項に規定する審査庁(以下「審査庁」という。)を拘束する判断を行うことは困難であること等から、引き続き、御指摘のように「第三者的立場」にある同審査会の答申を尊重しつつ、各行政機関の長において、同法第四十四条の規定による裁決(以下「裁決」という。)に係る最終的な判断を行う仕組みを維持することが適当であると考える。

三について

 開示決定等又は開示請求に係る不作為についての審査請求に対しては、二及び四についてで述べたとおり、御指摘のように「第三者的立場」にある情報公開・個人情報保護審査会の答申を尊重しつつ、各行政機関の長において、裁決に係る最終的な判断を行う仕組みとなっており、同審査会の答申は審査庁の判断を拘束するものではないことから、御指摘の「今回の事案」のように、同審査会の答申を踏まえて検討した結果、審査庁が審査請求に理由がないと判断し、同審査会の答申と異なる裁決を行うことも制度上許容されているところであり、御指摘のように「制度の趣旨をゆがめている」とは考えていない。