第213回国会(常会)
内閣参質二一三第一六九号 令和六年六月二十一日 内閣総理大臣 岸田 文雄
参議院議長 尾辻 秀久 殿 参議院議員石垣のりこ君提出いじめによる自殺の実数と統計上の数値の関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員石垣のりこ君提出いじめによる自殺の実数と統計上の数値の関係に関する質問に対する答弁書 一から三までについて 警察庁の自殺統計は、都道府県警察が作成した自殺統計原票に基づく情報を集約したものであり、自殺統計原票は、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百二十九条第二項による検視等の結果判明した事項の範囲内において正確かつ速やかに作成するものであることから、このような自殺統計の性質上、御指摘のように「学校や教育委員会等の調査により、いじめが自殺の原因・動機であると認定された場合、文部科学省は速やかに警察庁と情報共有し、自殺統計に反映されるようにすべき」とは考えていない。他方、御指摘の「ルール化」の意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省が昭和四十一年度以降毎年度行っている「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(以下「問題行動等調査」という。)は、自殺した児童生徒が置かれていた状況を含めた児童生徒の問題行動等に関する状況について、問題行動等調査の時点において国公私立の小学校、中学校、高等学校等(以下「各学校等」という。)及び都道府県教育委員会等が把握している状況を調査するものであり、誤記、誤植、脱字又は誤った事実の記載があった場合を除き、事後的に問題行動等調査の結果の修正を行うものではないが、いじめ(いじめ防止対策推進法(平成二十五年法律第七十一号。以下「法」という。)第二条第一項に規定するいじめをいう。以下同じ。)により児童生徒の自殺を含めた重大事態(法第二十八条第一項に規定する重大事態をいう。)が生じた疑いがあると認めるときは、国立大学又は国立大学の学部に附属して設置される学校については、法第二十九条第一項の規定に基づき、その旨を文部科学大臣に報告しなければならないこととされているほか、こども家庭庁と連携して同省において、各学校等又はその設置者が法第二十八条第一項に規定する調査に基づき作成する報告書(以下「重大事態に関する調査報告書」という。)等を分析し、当該調査の運用改善やいじめの防止対策の強化に向けた検討を行うために、同省において「いじめ重大事態に関する国への報告について(依頼)」(令和五年三月十日付け文部科学省初等中等教育局児童生徒課事務連絡)を発出し、各都道府県教育委員会等を通じて、各学校等及びその設置者に対し、重大事態に関する調査報告書等を同省に提出するよう依頼しているところである。政府としては、これらの統計、調査等により、児童生徒の自殺の動向を的確に把握しており、「実態を正確に把握しないまま施策が構築されている」との御指摘は当たらず、これを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難である。いずれにせよ、児童生徒が自ら命を絶つことはあってはならず、政府としては、引き続き児童生徒の命を守るために児童生徒の自殺対策に取り組んでまいりたい。 |