質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第一五六号
  令和六年六月十一日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員山本太郎君提出福島第一原子力発電所の廃止措置と燃料デブリの位置づけに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出福島第一原子力発電所の廃止措置と燃料デブリの位置づけに関する質問に対する答弁書

一の1及び4について

 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「法」という。)第六十四条の二第一項に基づき原子力規制委員会が指定する特定原子力施設(以下「特定原子力施設」という。)については、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という。)の事故を踏まえれば、例えば、放射線量が高いこと、施設の損傷が激しいこと等の理由により、原子力施設に適用される法の規定に適合することができない場合が想定されるため、法第六十四条の四において、特定原子力施設の状況に応じて、適用する規定について政令で定めることができるとしており、お尋ねの「直接定めることをしない理由」はこの法の趣旨に基づくものである。

一の2及び3について

 お尋ねの「適用することを直接示した規定」の意味するところが必ずしも明らかではないが、法第六十四条の四の規定に基づき定めた東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設についての核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の特例に関する政令(平成二十五年政令第五十三号。以下「特例政令」という。)において、法第十二条の六第八項の規定を福島第一原発に適用することとしている。

一の5について

 御指摘の「手続きとしては可能である」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「原子炉等規制法第十二条の六第八項が「特定原子力施設」に指定された福島第一原発に対して適用されないようにすること」については、法第六十四条の四において、法の規定の一部のみを適用することとすることができる場合を「実施計画による保安又は特定核燃料物質の防護のための措置の適正な実施が確保される場合」に限っている趣旨に鑑み、適切ではないと考えている。

二の1について

 「発電用原子炉施設及び試験研究用等原子炉施設の廃止措置計画の審査基準」(平成二十五年十一月二十七日原子力規制委員会決定)は、法第四十三条の三の三十四第二項に基づき発電用原子炉設置者が定める廃止措置計画等を審査する基準を示したものであるが、特例政令において、福島第一原発は廃止措置に関する事項を法第六十四条の二第二項に規定する実施計画に定めることとしているため、福島第一原発には適用されない。

二の2について

 福島第一原発の燃料デブリは、溶融した燃料であり、核燃料物質及び核燃料物質によって汚染されたものであるため、東京電力が当該燃料デブリを廃棄しようとする場合には、実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則(昭和五十三年通商産業省令第七十七号。以下「規則」という。)第二条第二項第二号に規定する放射性廃棄物(以下「放射性廃棄物」という。)に当たる。

二の3について

 福島第一原発の燃料デブリは、東京電力が廃棄しようとしない場合においては、放射性廃棄物に当たらない。

二の4について

 お尋ねの意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難であるが、福島第一原発の燃料デブリの処理及び処分の方法については、当該燃料デブリの取り出し開始後に性状の分析等を進めた上で決定することとしている。

二の5及び6について

 御指摘の「実施計画に記載された「廃止措置」の終了、実施計画の終了」の意味するところ及びお尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「原子炉内に燃料デブリが一部残った状態」は規則第百二十一条に規定する廃止措置の終了確認の基準に適合しているとは考えられず、その場合において、法第十二条の六第八項に基づく原子力規制委員会の廃止措置の終了確認を受けることはできない。