第213回国会(常会)
内閣参質二一三第一五四号 令和六年六月七日 内閣総理大臣 岸田 文雄
参議院議長 尾辻 秀久 殿 参議院議員石垣のりこ君提出定額減税と調整給付の合計額に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員石垣のりこ君提出定額減税と調整給付の合計額に関する質問に対する答弁書 一及び六について お尋ねについては、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(令和五年十一月二日閣議決定)において、「賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和するため、デフレ脱却のための一時的な措置として、国民の可処分所得を直接的に下支えする所得税・個人住民税の減税を行う。過去二年間で所得税・個人住民税の税収が三・五兆円増加する中で、・・・この税収増を納税者である国民に分かりやすく「税」の形で直接還元することとし、・・・物価高に最も切実に苦しんでいる低所得者には迅速に支援を届けることとし、・・・所得税・個人住民税の定額減税とこの住民税非課税世帯への支援は、支援の手法、対象となる所得層、実施時期が異なる中、両支援の間にある者に対しても丁寧に対応する」こととしており、また、令和六年五月二十八日の閣議後記者会見において、鈴木財務大臣が「定額減税と給付金の合計額が四万円を超える方もいらっしゃる認識をしております。・・・定額減税等とのバランスにおいて可能な限り公平となるように配慮しつつも、地方自治体の事務負担を極力少なくし、国民の皆さんに迅速に支援をお届けするために必要なものである」及び「今回の定額減税の意味、やはり今ずっと求めておりますのは、物価上昇を上回る所得増の実現ということでありますし、それから長年染みついたデフレマインドから脱却する、払拭する、そのきっかけをつくるということであります。そういう大きな政策目的と今回実際に実施する実務上の中、先程申し上げた定額減税と引き切れない方に対する給付金との関係、そのバランスの中でこういう制度になったということ」と述べたとおりであり、御指摘のように「定額減税は行わず給付のみ行うべき」であるとは考えていない。 二について 御指摘の「当初給付」に係る事業は、都道府県及び市町村(特別区を含む。)(以下「地方公共団体」という。)が作成した物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金実施計画(以下「実施計画」という。)等に基づいて実施される事業であるため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、都道府県に対し、「令和五年度一般会計原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費の使用の閣議決定を踏まえた「重点支援地方交付金」の取扱い等について」(令和五年十二月二十二日付け内閣官房令和五年経済対策給付金等事業企画室、内閣府地方創生推進室及びデジタル庁デジタル社会共通機能グループ事務連絡)において示した当該事業の「標準事業」の考え方及びウェブサイト「内閣官房・内閣府総合サイト地方創生」に掲載している資料「令和五年度物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金(給付金・定額減税一体支援枠)~低所得者支援及び定額減税補足給付金~自治体職員向けQ&A(令和六年五月十六日版(第五版))」(以下「Q&A」という。)において示した考え方等に基づけば、その最大額は四万円となる。 三について 御指摘の「当初給付」及び「調整給付」に係る事業は、地方公共団体が作成した実施計画等に基づいて実施される事業であるところ、御指摘の「令和五年と令和六年との間で所得に大きな変動があり、当初給付を受けた上で、定額減税も受けることができる者」及び「理論上」の意味するところが明らかではなく、また、お尋ねの「調整給付の額と定額減税の額を合わせた最大の額」は個々の所得状況等により様々であると考えられることから、お尋ねについてお答えすることは困難である。 四について 御指摘の「前記三にいう最大の額」に関しては、三についてでお答えしたとおりであるが、いずれにせよ、お尋ねについては、令和五年十月二十七日の衆議院予算委員会において、岸田内閣総理大臣が「定額減税については先ほど申し上げました。そして、そこで対象とならない特に困っておられる方々に対しては、給付という形で迅速にこの支援を行う、こうしたことを考えているわけですが、その両者の間におられる方にもしっかりと配慮しなければならないと思っています。(中略)できるだけ早く結論を出した上で実行に移していく、たちまち困っておられる方に給付を支給する、これはまず第一でありますが、その次の、間にあられる方への支援もできるだけ急いでいきたいと考えています。」と答弁し、また、同年十二月十五日の閣議後記者会見において、新藤国務大臣が「この措置のコンセプトとして、まずは「簡素」、分かりやすくて事務負担が少ない。それから「迅速」、特に物価高の影響が大きい低所得層の方々。それから「適切」、できるだけ公平にということで、この三つをバランスを取ったものにできる限り工夫する、配慮するという形で今回、対策を組み上げたわけであります。(中略)所得税などの定額減税は、これは本人に加えて配偶者を含む扶養親族一人当たり四万円の減税ということでございます。例えば本人プラス扶養親族三人。四人家族の場合は四万円かける四人ということで十六万円の減税になります。一方、それほど多くの住民税と所得税を払っていない方については、四万円を超えない場合には減税しきれないわけであります。こうした方につきましては、・・・令和七年三月の確定申告、だから再来年三月になりますが、そこの確定情報を待っていては支給がかなり遅れてしまいますので、令和六年中に入手可能な情報をもとにして、減税しきれないと見込まれる額を前倒しで給付すると考えております。」と述べたとおりである。 五について 前段のお尋ねについては、「令和五年度まで親の扶養に入っており、令和六年度から働き始めた新卒者等は令和五年度の納税額がゼロではある」及び「当初給付の対象になる」の意味するところが必ずしも明らかではなく、一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、御指摘の「新卒者等」が無収入であること等により、御指摘の「当初給付」に係る事業について地方公共団体が作成した実施計画等に定める支給対象者に該当しない場合は、「当初給付」の支給対象者とはならない。 後段のお尋ねについては、「当初給付の対象にはならない」及び「令和六年の納税額」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、御指摘の「減税し切れなかった額」の給付に係る事業は地方公共団体が作成した実施計画等に基づいて実施されるものであるが、いずれにせよ、Q&Aにおいて、「令和六年分所得税及び定額減税の実績額等が確定した後、調整給付に不足が生じる場合には、不足分の給付を行うことを検討しています。」、「具体的には、令和六年分所得税額の確定申告後に行うことが考えられます。」及び「詳細な実施時期や制度設計については、おってご連絡いたします。」と記載しているとおりである。 |