質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第一五一号
  令和六年六月七日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出日本の水道事業の民営化・外資開放への懸念に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出日本の水道事業の民営化・外資開放への懸念に関する再質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねについては、水道施設運営等事業(水道法(昭和三十二年法律第百七十七号。以下「法」という。)第二十四条の四第一項に規定する水道施設運営等事業をいう。以下同じ。)の内容やその業務の範囲が個々の事例により異なるものであり、一概にお答えすることは困難であるが、例えば、水道施設運営権(同項に規定する水道施設運営権をいう。以下同じ。)の設定により、民間の知見を効果的に活用することで、ポンプ設備に係る情報通信機器の導入による業務の効率化や消費電力を抑制できる施設への更新による必要経費の削減等が行われることにより、水道施設の運営に係る費用が削減されると考えている。

一の2について

 前段のお尋ねについては、先の答弁書(令和六年四月二十三日内閣参質二一三第一一〇号。以下「前回答弁書」という。)一についてでお答えしたとおりである。

 後段のお尋ねについては、前回答弁書一についてでお答えした法を始めとする関係法令の規定の内容等について、「改正水道法等の施行について」(令和元年九月三十日付け薬生水発第〇九三〇第一号厚生労働省医薬・生活衛生局水道課長通知。以下「施行通知」という。)等において都道府県等に対して周知を行うとともに、水道施設運営等事業が適切に行われるよう、「水道事業における官民連携に関する手引き」(平成二十六年三月同省健康局水道課作成、令和六年三月同省健康・生活衛生局水道課改定。以下「手引き」という。)を作成して、水道事業者(法第三条第五項に規定する水道事業者をいう。以下同じ。)である地方公共団体への支援を行っている。

一の3について

 お尋ねの「水道料金の急激な上昇」については、前回答弁書一についてにおいて、水道施設運営等事業が適切に行われない場合に想定されるデメリットの一つとして例示したものにすぎず、特定の「期間」及び「程度」を想定したものではない。

一の4について

 お尋ねについては、御指摘の「地域差」については、水道施設運営権の設定の有無よりも、それぞれの地域における原水の質の差、地理的条件の差等の様々な要因により生ずるものであると考える。

二について

 前段のお尋ねについては、国土交通大臣は、水道事業者である地方公共団体から、法第二十四条の四第一項の規定に基づき、水道施設運営権の設定の許可の申請があった場合には、水道施設運営等事業を実施しようとする者が外国企業か国内企業かにかかわらず、当該申請が法第二十四条の六第一項各号のいずれにも適合していると認められるときでなければ、水道施設運営権の設定の許可を与えてはならないとされている。また、同大臣は、法第二十四条の四第三項に規定する水道施設運営権者が法又は法に基づく命令の規定に違反した場合には、法第二十四条の十二の規定に基づき、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成十一年法律第百十七号)第二十九条第一項第一号(トに係る部分に限る。)に掲げる場合に該当するとして、水道施設運営権を設定した水道事業者である地方公共団体に対して、同項の規定による処分をなすべきことを求めることができるとされている。これらの規定により、法第三条第二項に規定する水道事業の適正かつ確実な実施が図られることから、政府としては、外国企業が水道施設運営等事業を実施することによってお尋ねの「経済安全保障上のリスク」が生ずるとは考えていない。

 後段のお尋ねについては、水道法の一部を改正する法律(平成三十年法律第九十二号。以下「一部改正法」という。)による法改正時においては、御指摘の「安全保障上のリスク」について、政府として特段分析及び検討を行っていない。

三について

 お尋ねについては、海外の事例も参考に、一部改正法等により、官民連携の推進等による水道の基盤の強化を図ったところであり、また、一部改正法の内容等について、施行通知等において都道府県等に対して周知を行うとともに、水道施設運営等事業が適切に行われるよう、手引きを作成して、水道事業者である地方公共団体への支援を行っているところである。