第213回国会(常会)
内閣参質二一三第一四四号 令和六年六月四日 内閣総理大臣 岸田 文雄
参議院議長 尾辻 秀久 殿 参議院議員神谷宗幣君提出国語教育政策と言語文化としての日本語の継承に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員神谷宗幣君提出国語教育政策と言語文化としての日本語の継承に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難であるが、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)第二条第五号において教育の目標として定める「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する・・・態度」を養うための取組の一つとして、我が国の言語文化に関する教育の充実に向けた取組を進めているところであり、例えば、小学校、中学校及び高等学校においては、学習指導要領に基づき、全ての児童生徒に対し、国語科において、我が国の言語文化に関する指導を行うなどしており、こうした取組により、我が国の伝統と文化を尊重する態度等の育成が図られていると考えている。 二について 御指摘の「伝統的な言語文化としての日本語の継承と発展」及び「日本人が学ぶ日本語を教育課程に体系的に位置付け、自国語に対する国民の真の理解と誇りが自覚できるような取組」の意味するところが必ずしも明らかではないが、小学校学習指導要領(平成二十九年文部科学省告示第六十三号)においては、小学校の国語科の目標として、例えば、「国語の大切さを自覚し、国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う」等、中学校学習指導要領(平成二十九年文部科学省告示第六十四号)においては、中学校の国語科の目標として、例えば、「我が国の言語文化に関わり、国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う」等、高等学校学習指導要領(平成三十年文部科学省告示第六十八号)においては、高等学校の国語科の目標として、例えば、「我が国の言語文化の担い手としての自覚をもち、生涯にわたり国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う」等とそれぞれ規定した上で、これらを踏まえて国語科の内容を児童生徒の発達段階等に応じて規定しており、小学校、中学校及び高等学校においては、これらの学習指導要領に基づき、全ての児童生徒に対し、国語に関する指導を行うこととしている。 三について 御指摘の「日本人学生の日本語力の状況」の具体的な内容が必ずしも明らかではないが、高等教育段階における学生の国語に関する能力については、政府として調査を行っていないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。 四について 高等教育段階における御指摘の「教育方針」については、各大学、短期大学、高等専門学校及び専門学校において、自主的・自律的に決すべきものであり、御指摘の「高等教育課程において日本語重視で教育方針を立てていくこと」は考えていない。 五について お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難であるが、例えば、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策等について定める「教育振興基本計画」(令和五年六月十六日閣議決定)においては、「我が国や郷土の伝統や文化を受け止め、日本人としての美徳やよさを生かし、それらを継承・発展させるための教育を推進する」こととしているところである。 六について 御指摘の「他国の言語政策」について、その詳細を把握しているわけではなく、また、御指摘の「他国」の「言語教育政策」が直面している課題は様々にあり得ると考えられるため、お尋ねの「日本の言語教育政策が直面している独自の課題」及び「これらの課題を克服するための具体的なアプローチ」について、一概にお答えすることは困難である。 |