第213回国会(常会)
内閣参質二一三第一四〇号 令和六年五月二十八日 内閣総理大臣 岸田 文雄
参議院議長 尾辻 秀久 殿 参議院議員石垣のりこ君提出米国上院公聴会での原爆投下を正当化する発言に対して上川陽子外務大臣が米国政府などに抗議したことに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員石垣のりこ君提出米国上院公聴会での原爆投下を正当化する発言に対して上川陽子外務大臣が米国政府などに抗議したことに関する質問に対する答弁書 一から四まで及び五の前段について お尋ねの「具体的方法」を含め、外交上の個別のやり取りの詳細について明らかにすることは、相手方との関係もあり差し控えたい。なお、令和六年五月十日の衆議院外務委員会における上川外務大臣による御指摘の「答弁」における「その内容、やり取り」の「詳細」には、お尋ねの「具体的方法」も含んでいる。 五の後段、六及び七について 御指摘の「米国に対しては強くものを言えない」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、本件に関する政府の考え方は、例えば、令和六年五月十四日の記者会見において、上川外務大臣が、「我が国としては、広島及び長崎に対する原爆投下は、大変多くの尊い命を奪い、病気や障害などで、言葉に尽くせない苦難を強いてきたものでありまして、人道上極めて遺憾な事態をもたらしたものと認識しております。また、政府といたしましては、かねてから明らかにしてきたとおり、核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力の故に、国際法の思想的基盤にあります人道主義の精神に合致しないと考えております。(中略)唯一の戦争被爆国として、核兵器による広島・長崎の惨禍は、決して繰り返してはならないとの信念の下、「核兵器のない世界」の実現に向けまして、米国とも協力をしながら、現実的かつ実践的な取組を積み重ねるとともに、グラハム上院議員を含めまして、被爆の実相の正確な理解を促進するため、不断の努力を行ってまいりたいと考えております」と述べたとおりであり、御指摘の「五月十二日に米国のNBCテレビの番組に出演した」際の「原爆投下」に関する発言がなされたことのみをもって、御指摘のように「効果が全くなかった」とは考えていないが、当該発言がなされた後においても、グラハム上院議員事務所と意思疎通を重ね、こうした政府の考え方をしっかりと申し入れてきているところである。 また、これ以上の外交上の個別のやり取りの詳細については、一から四まで及び五の前段についてで述べたとおり、これを明らかにすることは、相手方との関係もあり差し控えたい。 |