質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第一二六号
  令和六年五月十七日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員石垣のりこ君提出選挙期間中の政党その他の政治団体の機関紙誌の頒布に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石垣のりこ君提出選挙期間中の政党その他の政治団体の機関紙誌の頒布に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「機関紙誌の届出の内容」について、①名称、②編集人の氏名、③発行人の氏名、④創刊年月日、⑤発行方法及び⑥引き続いて発行されている期間をお示しすると、以下のとおりである。

第四十九回衆議院議員総選挙

機関新聞紙

①しんぶん赤旗 ②高橋敬 ③高橋敬 ④昭和三年二月一日 ⑤日刊 ⑥九十三年八か月

①自由民主 ②伊原裕和 ③阿部信吾 ④昭和三十年六月十五日 ⑤週刊 ⑥六十六年四か月

①公明新聞 ②吉本正史 ③吉本正史 ④昭和三十七年四月二日 ⑤日刊 ⑥五十九年六か月

①機関紙 日本維新 ②島松洋一 ③島松洋一 ④平成二十七年十二月二十九日 ⑤季刊 ⑥五年九か月

①立憲民主 ②坂上直子 ③秋元雅人 ④令和二年十月十六日 ⑤月刊 ⑥一年

①国民民主PRESS ②山口花 ③岡崎敏弘 ④令和二年十月二十三日 ⑤隔月刊 ⑥十一か月

①社会新報 ②田中稔 ③中島修 ④昭和三十年十月十三日 ⑤週刊 ⑥六十六年

機関雑誌

①前衛 ②菅原克尚 ③菅原克尚 ④昭和二十一年二月十五日 ⑤月刊 ⑥七十五年八か月

①りぶる ②阿部信吾 ③阿部信吾 ④昭和五十七年三月十五日 ⑤月刊 ⑥三十九年七か月

①公明グラフ ②高橋次郎 ③吉本正史 ④昭和四十一年十二月二十日 ⑤季刊 ⑥五十四年九か月

①月刊社会民主 ②田中稔 ③中島修 ④昭和三十年十月十三日 ⑤月刊 ⑥六十六年

第二十六回参議院議員通常選挙

機関新聞紙

①公明新聞 ②吉本正史 ③吉本正史 ④昭和三十七年四月二日 ⑤日刊 ⑥六十年二か月

①立憲民主 ②飯塚桂子 ③豊原昭二 ④令和二年十月十六日 ⑤月刊 ⑥一年八か月

①国民民主PRESS ②山口花 ③岡崎敏弘 ④令和二年十月二十三日 ⑤隔月刊 ⑥一年七か月

①しんぶん赤旗 ②大井伸行 ③大井伸行 ④昭和三年二月一日 ⑤日刊 ⑥九十四年四か月

①自由民主 ②伊原裕和 ③阿部信吾 ④昭和三十年六月十五日 ⑤週刊 ⑥六十七年

①社会新報 ②田中稔 ③中島修 ④昭和二十六年十一月一日 ⑤週刊 ⑥七十年七か月

①参政党DIYタイムズ ②神谷宗幣 ③神谷宗幣 ④令和四年一月十四日 ⑤隔月刊 ⑥五か月

①新風 ②川畑賢一 ③魚谷哲央 ④平成八年一月一日 ⑤月刊 ⑥二十六年五か月

機関雑誌

①公明グラフ ②髙橋次郎 ③吉本正史 ④昭和四十一年十二月二十日 ⑤季刊 ⑥五十五年六か月

①前衛 ②菅原克尚 ③菅原克尚 ④昭和二十一年二月十五日 ⑤月刊 ⑥七十六年四か月

①りぶる ②阿部信吾 ③阿部信吾 ④昭和五十七年三月十五日 ⑤月刊 ⑥四十年三か月

①月刊社会民主 ②田中稔 ③中島修 ④昭和三十二年五月十日 ⑤月刊 ⑥六十五年一か月

二、四及び五について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「平常行われていた方法」については、第七十五回国会に内閣が提出した公職選挙法の一部を改正する法律案(以下「内閣提出法律案」という。)への議員修正により追加されたものであり、その趣旨について、当該修正案の提案者から、「少なくとも六カ月間というものを一つの期間として認める基準にしているわけでありますから、その六カ月間は少なくとも経常的に、継続的にずっと努力をしていくということが通常の方法であって、(中略)平生からやはり努力をして積み上げていくという運動の中のものを評価してそれが通常の方法である、こういうふうに考えるべきだ」との説明がなされていたところ、頒布の主体、手段、対象、部数、回数、対価等により、個別具体に実態を踏まえて判断されるものと解されており、総務省及び各選挙管理委員会においては、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号。以下「法」という。)第二百一条の十五第一項の届出について、形式的審査を行った上で受理しているものであることから、御指摘の「「通常の方法」及び「平常行われていた方法」」について確認することはしておらず、また、政府としては、御指摘の「通常の「頒布方法」」及び「当該選挙の期日の公示又は告示の日前六月間の頒布実績について日時、場所、頒布枚数」を届け出ることが求められているとは考えていない。

三について

 政府として、お尋ねの「処罰事例や警告事例」を詳細かつ網羅的に把握しているものではないが、例えば、昭和五十一年四月七日秩父簡易裁判所判決においては、「被告人は、昭和五〇年四月一三日施行の埼玉県議会議員選挙に際し、公職選挙法二〇一条の一四所定の機関紙でなく、かつ、毎月三回以上号を逐つて定期に有償頒布していない新聞紙「政経タイムス」の編集、発行ならびに経営を担当する者であるが、その選挙運動の期間中である同年四月二日ころ、同選挙に埼玉北一区から立候補した井上喜一郎、栗原稔および中石松一らの得票数の予想を論じ、さらに右「中石の前には栄光に輝く当選はなく、失意の落選以外のものはない」などと同人を批評した同月三日付同新聞号外約二五、〇〇〇部を編集印刷して、同月三日設楽光吉を介し、別表記載のとおり、同選挙区内の秩父市宮側町六番四号新聞販売業小島繁雄ほか七名に対し、合計二一、三〇〇部を交付して翌四月四日付各新聞紙に折込配付方を依頼し、もつて選挙に関する報道および評論を掲載したものである。・・・被告人の判示所為は、昭和五〇年法律第六三号による改正前の公職選挙法二三五条の二・二号、一四八条三項に該当するので、所定刑中罰金刑を選択し、情状として、本件は被告人の同法に対する誤解によるものであること、判示の政経タイムスの号外はその殆んどが一般人に配布される前に回収されており、それは警察が新聞販売店に対して注意したためではあるが、被告人も右回収につき手配したことを酌量して、その所定金額の範囲内で被告人を罰金一万円に処し、(中略)本件は形式犯であることも考慮すると、被告人に対し選挙権および被選挙権を停止することは、いささか酷に失するので、公職選挙法二五二条四項により同条一項所定の五年間選挙権および被選挙権を有しない旨の規定を適用しない。」とされ、同判決が確定したものと承知している。

六について

 御指摘の「平常行われていた方法」については、二、四及び五についてでお答えしたとおり、議員修正の経緯から個別具体に実態を踏まえて判断されるものと解されており、総務省及び各選挙管理委員会においては、法第二百一条の十五第一項の届出について、形式的審査を行った上で受理しているものであることから、御指摘のように「街頭やポスティングでの頒布が平常行われていた方法か否かについて届出者の目安となるように示す必要があり、少なくとも平常行われていた方法に該当しないケースについては明確にすべき」ことが求められているとは考えていない。

七について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「平常行われていた方法」については、内閣提出法律案において、「定期購読者以外の者に対して頒布する新聞紙又は雑誌については、政談演説会の会場において頒布する場合を除き、有償でする場合に限る」としていたことに代わるものとして、議員修正により設けられた経緯もあることから、御指摘のような法改正は、政治活動の自由と密接に関連するものであり、各党各会派において御議論いただくべきものと考えている。