質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第一二二号
  令和六年五月十日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出我が国に設置された孔子学院に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出我が国に設置された孔子学院に関する再質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「孔子学院」の「性格、役割、意義」に関する「評価」については、その趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。また、お尋ねの「孔子学院」の「実際の我が国への影響(安全保障面等)」に関する「評価」についてお答えすることは、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、差し控えたい。

二について

 前段のお尋ねのうち「存在する孔子学院等ごとに、情報開示措置が具体的にどのように行われたか」については、御指摘の「孔子学院等」を設置する各学校法人のウェブサイトで公表されていると承知している。

 前段のお尋ねのうち「それをどう評価しているか」及び後段のお尋ねについては、「「孔子学院」等に係る情報の公開について(依頼)」(令和五年十二月四日付け文部科学省高等教育局参事官(国際担当)及び初等中等教育局参事官(高等学校担当)事務連絡)の発出後、御指摘の「孔子学院等」の設置経緯、運営体制、教員の氏名、教育内容、予算及び決算の状況等の情報公開が進んでおり、「孔子学院等」の活動等に関する事実の把握が進んでいると考えている。政府としては、引き続き、「孔子学院等」を設置する各学校法人の動向を注視しつつ、継続的な働きかけを行ってまいりたい。

三について

 前段のお尋ねについては、御指摘の「孔子学院等及びその中国籍職員が本件二法律に基づき中国政府の指示に従う可能性」の具体的に意味するところが明らかではなく、また、御指摘の「本件二法律」は他国の法律であることから、お答えすることは困難である。

 後段のお尋ねについては、御指摘の「懸念される状況」の具体的な内容が明らかではないため、お答えすることは困難である。

四について

 御指摘の「孔子課堂」については、諸外国においてその一部が閉鎖されていることは報道等を通じて承知しており、そのような報道等を踏まえ、文部科学省においては、「孔子課堂」を設置する学校法人の動向を注視しつつ、その運営に関する情報を公開するよう継続的な働きかけを行うとともに、学校法人が「孔子課堂」を設置することにより当該学校法人が設置する学校の教育活動に支障が生じている場合や、設置された「孔子課堂」の活動に法令違反があると認められる場合には、適切に対処してまいりたい。

五について

 御指摘の「我が国の安全保障や教育の自由を守るため」の具体的に意味するところが明らかではないため、「本件質問主意書の質問二で挙げた2から5についても把握することは重要であると考えられるが、政府はどう考えるか」とのお尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、文部科学省としては、御指摘の「孔子学院」の設置により大学の自主的・自律的な運営が妨げられることのないよう、「孔子学院」を設置する各学校法人が、その運営の透明性を確保する必要があると考え、当該学校法人に対して、その運営に関する情報を公開するよう働きかけており、引き続き、「孔子学院」を設置する各学校法人の動向を注視してまいりたい。

六について

 御指摘の「外国政府の統制下」及び「通常の学校機関よりもより厳格な監督」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「孔子学院等の設置」については、「孔子学院等」は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)においてその設置に係る手続は定められておらず、そのほかにも、その設置について規律する法令があるとは承知していない。いずれにせよ、学校法人が「孔子学院等」を設置することにより当該学校法人が設置する学校の教育研究活動に支障が生じている場合や、設置された「孔子学院等」の活動に法令違反があると認められる場合には、適切に対処してまいりたい。

七について

 御指摘の「中国政府からの国防勤務や情報工作活動の指示に従う」、「日本の安全保障や教育の自由に悪影響を及ぼす」及び「日本の安全保障や教育の自由に潜在的な悪影響を及ぼす」の具体的な内容が明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。