質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第一二〇号
  令和六年五月七日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員塩村あやか君提出フリーランスの労災保険特別加入制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員塩村あやか君提出フリーランスの労災保険特別加入制度に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 お尋ねの「特定受託事業から既存の事業又は作業を除く理由」については、令和五年十月四日及び同年十一月二十日に開催された第百八回及び第百九回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会において「今回の業務の追加により、既存の特別加入に係る業務と特定受託業務のいずれにも該当する場合も想定されるが、その場合、同一の業務について異なる料率が設定され、災害率や就業形態ごとに料率を設定する趣旨に反することも想定されるほか、いずれに加入するかを就業者が選択できることとすると、料率の低い業務に特別加入者が流れてしまうことも考えられる」ことから「特定受託業務には、既存の特別加入の業務は含まないこととする」と確認されたとおりである。

三について

 お尋ねについては、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号。以下「労災保険法」という。)に基づく労働者災害補償保険の特別加入制度(以下「特別加入制度」という。)において、御指摘の「個別加入の制度の導入」をする場合には、労災保険法第三十三条第三号から第五号までに掲げる者の業務災害の防止措置の方法等の制度の在り方について時間をかけて検討した上で、労災保険法の改正等が必要であると考えられる一方、労働者災害補償保険法施行規則及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和六年厚生労働省令第二十二号。以下「改正省令」という。)による改正後の労働者災害補償保険法施行規則(昭和三十年労働省令第二十二号)第四十六条の十七第十二号に規定する事業(以下「特定受託事業」という。)については「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案に対する附帯決議」(令和五年四月二十七日参議院内閣委員会)において「政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである」及び「十六 労災保険の特別加入制度について、希望する全ての特定受託事業者が加入できるよう対象範囲を拡大する」とされており、御指摘の「個別加入の制度の導入」について「本法の施行」に合わせて実施することは困難と考えられたため、「議論の対象としなかった」ものである。

四について

 お尋ねの「同様の制度の特定受託事業者枠に加入が見込めるのか」の趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。なお、令和五年十二月二十二日に開催された第百十回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会の資料一において、「日本では四百六十二万人がフリーランスとして働いていると試算されており、うち、事業者から業務・作業の依頼(委託)を受けて仕事を行う者は五十九・〇パーセント(単純に掛け合わせると約二百七十三万人)」とされており、希望する者の加入を進めてまいりたい。また、お尋ねの「既存の業種及び特別加入団体が不利益を被らないための方策」については、その趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。

五について

 お尋ねの「手続上の負担を軽減させるような措置」の趣旨が必ずしも明らかではないが、特定受託事業を行う者が特別加入制度への加入を希望する場合は、労災保険法第三十五条の規定に基づき、当該者を構成員とする同条に規定する団体(以下「特別加入団体」という。)が政府に対して加入申請を行うものであるところ、特別加入団体を通じて加入する際の手続に係る当該者の負担の軽減に資するよう、特定受託事業に該当する業務を具体的に例示し、厚生労働省のホームページでの周知等を通じて、希望する全ての特定受託事業を行う者が特別加入制度に加入できるよう、改正省令の円滑な施行に努めてまいりたい。