質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第一一七号
  令和六年五月七日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出我が国の科学技術関連政策における国際関係と安全保障への影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出我が国の科学技術関連政策における国際関係と安全保障への影響に関する質問に対する答弁書

一について

 国立研究開発法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第三項に規定する国立研究開発法人をいう。以下同じ。)における職員の採用に関しては、各国立研究開発法人において、その業務の遂行に必要な人材を適切に確保していると承知しており、この結果としての外国籍職員の国籍別人数が不適切であるとは考えていない。

 また、国立研究開発法人における御指摘の「外国籍職員の採用」に関して、政府としては、「国立研究開発法人の機能強化に向けた取組について」(令和六年三月二十九日関係府省申合せ)において、関係府省から各国立研究開発法人に対し、「職員の採用・受入時に申告された兼業や研究費受入等の外部機関との連携関係の情報について、別途入手可能な情報と比較するなど定期的なフォローアップを行う」等の取組を促すこととしたところである。

二から四までについて

 御指摘の「本件四法人」及び独立行政法人日本学術振興会を含め、研究開発法人(科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成二十年法律第六十三号)第二条第九項に規定する研究開発法人をいう。以下同じ。)が行う業務には、外国の研究者や研究機関との間での共同研究の実施や科学技術に関する情報の交換など様々な活動が含まれるところ、お尋ねの「国際事業(実施及び助成を含む)」及び「中国を対象とする事業」をこうした研究開発法人の業務の中から明確に区分することが困難であるため、これらの事業に係るお尋ねについてお答えすることは困難である。

 また、御指摘の「中国の「千人計画」に関連する事業、及び千人計画参加者が関わる事業」に係るお尋ねについてお答えすることは、衆議院議員大西健介君提出中国の「千人計画」に関する質問に対する答弁書(令和三年二月十二日内閣衆質二○四第二八号)二についてでお答えしたとおり、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、差し控えたい。

 いずれにせよ、お尋ねの「技術流出」の「リスクをどのように管理しているか」については、同法第四十一条第二項において、研究開発法人は、その研究開発の成果について、我が国の国際競争力の維持に支障を及ぼすこととなる国外流出の防止に努めるものとされており、各研究開発法人において、それぞれ適切な措置が採られているものと承知している。

 なお、政府としても、先の答弁書(令和五年十二月五日内閣参質二一二第六七号)四及び五についてで述べた取組を進めてきているほか、一についてで述べた「国立研究開発法人の機能強化に向けた取組について」において、関係府省から各国立研究開発法人に対し、各国立研究開発法人の研究開発の成果について、我が国の国際競争力の維持に支障を及ぼすこととなる国外流出の防止に向けた取組を促すこととしたところである。

五について

 国立研究開発法人科学技術振興機構アジア・太平洋総合研究センターについては、発展が著しいアジア太平洋地域と我が国との間での科学技術分野における協力を支える基盤を構築することを目的に、同地域を対象に調査研究、情報の発信及び交流の推進を実施する組織として同機構に設置されたものであると承知している。

 また、御指摘の「関係性」の具体的に指し示す範囲が明らかではないため、「関係性があるのではないか」とのお尋ねについて網羅的にお答えすることは困難であるが、少なくとも、これまで同センターにおいては、御指摘の「国防七校」との間で人材交流や研究協力等を実施したことはないと承知している。また、御指摘の「千人計画」に係るお尋ねについてお答えすることは、二から四までについてでお答えしたとおり、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、差し控えたい。

 また、お尋ねの「在籍状況と活動状況」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和六年四月一日時点で同機構に在籍する常勤職員であって、採用時に日本国籍を有していなかった者のうち中国国籍のものは、九名であるが、これ以上の詳細については、先の答弁書(令和五年五月三十日内閣参質二一一第七八号)二についてでお答えしたとおり、外国籍職員の国籍及び国籍別の人数並びに所属及び役職といった詳細を明らかにすることにより、個人が特定されるおそれがあるため、プライバシー保護の観点から、お答えすることは差し控えたい。

 なお、御指摘の「日本の中国関連団体情報」については、令和四年二月末に同センターのウェブサイトへの掲載を終了しており、また、御指摘の「中国政府による日本の若手科学技術関係者の招へいプログラム」については、同センターが実施しているものではないと承知している。