質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第一一六号
  令和六年五月七日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員村田享子君提出コロナ禍における旅行支援政策と感染拡大防止との関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員村田享子君提出コロナ禍における旅行支援政策と感染拡大防止との関係に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「Go To トラベル事業」については、令和二年十二月二十八日から、全国一律に一時停止することとし、御指摘のとおり、「その後再開」していない。

二について

 お尋ねの「経緯」については、御指摘の「Go To トラベル事業」について、一についてで述べたとおり、一時停止していた中で、令和四年六月十五日の記者会見において、岸田内閣総理大臣が「感染状況の改善が確認できれば、七月前半より地域観光をより一層強力に支援するため、地域観光事業支援について、全国を対象とした観光需要喚起策を実施いたします」と述べ、同年九月二十二日の記者会見において、同内閣総理大臣が「十月十一日から、水際対策については、入国者数についての上限撤廃、個人旅行の解禁、ビザなし渡航の解禁を行います。あわせて、同日より、「全国旅行割」と「イベント割」を開始いたします」と述べたとおり、政府として、同年十月十一日から、御指摘の「全国旅行支援」を開始したところである。

 また、お尋ねの「理由」については、同年十一月八日の参議院国土交通委員会において、秡川観光庁次長(当時)が「全国旅行支援なんですけれども、新型コロナの感染状況に地域差があるということを勘案しまして、各都道府県におきまして感染状況を踏まえながら地域における需要喚起の取組を進めていただくということが重要だと考えています。このため、全国旅行支援の制度の骨格につきましては、国が一律に定めます。具体的な運用については、都道府県において地域の感染状況や需要動向に応じて柔軟に対応できる仕組みとしております」と答弁したとおり、国が実施主体となって行う御指摘の「Go To トラベル事業」ではなく、都道府県が実施主体となって行う御指摘の「全国旅行支援」により、観光需要を喚起する取組を行うことが望ましいと考えたためである。

三について

 お尋ねの「配分の基準」については、観光庁が実施する「宿泊旅行統計調査」に記載の各都道府県を宿泊地とする日本人延べ宿泊者数等を基準として御指摘の「配分」を行ったものである。お尋ねの「都道府県毎の予算額」については、その意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に各都道府県において御指摘の「県民割」及び「全国旅行支援」についてそれぞれ計上された予算額を指すのであれば、政府として、各都道府県の予算措置に係る状況を網羅的に把握しておらず、お答えすることは困難である。

四について

 お尋ねについては、令和二年十二月十一日の新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会による御指摘の「提言」を受けて、同月十四日に開催された新型コロナウイルス感染症対策本部において、御指摘の「トラベル事業」について、同月二十八日から令和三年一月十一日までの全国一律の一時停止措置が決定されたものであり、当該決定の理由は、令和二年十二月十四日に開催された同本部において、菅内閣総理大臣(当時)が「年末年始にかけてこれ以上の感染拡大を食い止め、医療機関などの御負担を軽減し、皆さんが落ち着いた年明けを迎えることができるよう、最大限の対策を講じることにします。(中略)年末年始において最大限の対策を採るため、今月二十八日から来月十一日までの措置として、GoToトラベルを全国一斉に一時停止することとします」と述べたとおりである。

五について

 お尋ねについては、これまで、保健所等から、御指摘の「Go To トラベル事業」並びに三で御指摘の「県民割」及び「全国旅行支援」の利用者に起因して新型コロナウイルス感染症の感染が拡大したとの報告は受けておらず、御指摘の「新型コロナウイルスの感染拡大の要因となった」とは、一概には言えないと考えている。