第213回国会(常会)
内閣参質二一三第一一五号 令和六年四月二十六日 内閣総理大臣 岸田 文雄
参議院議長 尾辻 秀久 殿 参議院議員石垣のりこ君提出イランを強く非難する一方、イスラエルに対しては確定的評価を差し控えていることに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員石垣のりこ君提出イランを強く非難する一方、イスラエルに対しては確定的評価を差し控えていることに関する質問に対する答弁書 一について 令和六年四月一日にシリアにおいて発生したイランの施設に対する攻撃については、我が国として、御指摘のように「イスラエルによるイラン大使館への攻撃」であると確定的に評価を行っていないため、そのような評価を前提としたお尋ねにお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、同月二日の記者会見における上川外務大臣による「事実関係を十分に把握をすることが困難である中」との発言の趣旨については、同月十六日の記者会見において、同大臣が「四月一日のシリアにおけるイラン施設に対する攻撃につきましては、イスラエルは関与を認めておらず、我が国として、事実関係を十分に把握することが困難である中、確定的に評価をすることは、差し控えさせていただきたいと思っております」と述べているとおりである。 二について 御指摘の「各国が報道し、SNSでも被害の実態を伝える画像や動画が数多く投稿されているにもかかわらず」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和六年四月一日にシリアにおいて発生したイランの施設に対する攻撃をめぐる情勢を含め、イラン及びイスラエルをめぐる情勢については、我が国として、在外公館等を通じて関連情報の収集を行ってきているところであり、また、同月十七日の記者会見において、林内閣官房長官が「在外邦人の保護に万全を期すとともに、事態の更なる悪化を防ぐべく、引き続き必要なあらゆる外交努力を行ってまいります」と述べているとおりであり、御指摘のように「事実関係を把握することが出来ないような低い情報収集能力では安全保障上問題がある」とは考えていない。 三について 一についてで述べたとおり、令和六年四月一日にシリアにおいて発生したイランの施設に対する攻撃については、我が国として、御指摘のように「イスラエルによるイラン大使館への攻撃」であると確定的に評価を行っていないため、そうした評価を前提としたお尋ねにお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、同月十三日(現地時間)から同月十四日にかけてイランがイスラエルに対して行った攻撃については、「イランによるイスラエルに対する攻撃について(外務大臣談話)」(令和六年四月十四日外務大臣談話)において「現在の中東情勢を更に一層悪化させるものであり、深く懸念し、このようなエスカレーションを強く非難します」としているところであり、また、同月一日にシリアにおいて発生したイランの施設に対する攻撃については、一についてで述べた同月十六日の記者会見において、上川外務大臣が「一般に、国際法上、外交使節団等の公館に対する攻撃は、許されるべきものではなく、我が国として、本事案について、重大な関心と懸念を持って受け止めているところであります」と述べているとおりである。 四について お尋ねについては、二についてで述べた令和六年四月十七日の記者会見において、林内閣官房長官が「上川外務大臣は、イランのアブドラヒアン外務大臣及びイスラエルのカッツ外務大臣と個別に電話会談を行いました。双方に対して・・・自制を強く求めたところでございます。・・・今後の我が国や欧米諸国の対応やイスラエル側の反応について、現時点で予断することは差し控えますが、いずれにしても、我が国として、在外邦人の保護に万全を期すとともに、事態の更なる悪化を防ぐべく、引き続き必要なあらゆる外交努力を行ってまいります」と述べているとおりであり、御指摘のように「外務大臣談話を発表し、イスラエルに対しても強く非難するべき」か否かについても、現時点で予断することは差し控えたい。 |