質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第一〇八号
  令和六年四月十九日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員舟山康江君提出政治資金収支報告書の適切な記載に向けた総務省及び選挙管理委員会の監督権限行使のあり方等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員舟山康江君提出政治資金収支報告書の適切な記載に向けた総務省及び選挙管理委員会の監督権限行使のあり方等に関する質問に対する答弁書

一の1について

 政治資金収支報告書に関して政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号。以下「法」という。)において総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会(以下「総務大臣等」という。)に与えられている権限は、法第三十一条に規定されているとおり、政治資金収支報告書に形式上の不備があり、又はこれに記載すべき事項の記載が不十分であると認めるときは、当該報告書を提出した者に対して、説明を求め、又は当該報告書の訂正を命ずることができる形式審査権のみであり、御指摘の「照会」に対して、同条の規定の趣旨を踏まえつつ、総務省において必要な回答をしたものである。

一の2及び4の前段について

 お尋ねの「具体的な定義や判断基準」及び「現在も、この答弁で示された見解を維持しているか」については、平成十七年七月十五日の衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会において、政府参考人が「記載すべき事項の記載が不十分であるときといいますのは、収支報告書の記載の内容が明確ではなく適正でない場合や、収入または支出の積算に誤りがある場合のように、記載上の適確性を欠く場合を言うものとされております。したがいまして、一般論として申し上げますと、政治団体に十分な説明を私どもが求めました上で、なお形式上の不備または記載事項の不備があって、どのように訂正すれば正確性が回復されるのかといった事実関係が客観的に明らかになっている場合には、訂正を命ずることができるものと考えております」と答弁したとおりであり、また、お尋ねの「事例」については、個別の政治資金収支報告書の記載が、法第三十一条に規定する「記載すべき事項の記載が不十分であると認めるとき」に該当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されるべきものであることから、一概にお答えすることは困難である。

一の3及び4の後段について

 総務省に法についての問合せ等があれば、法の解釈や法に関する制度の考え方をお示ししているところである。

一の5について

 一の1についてで述べたとおり、総務大臣等に与えられている権限は、政治資金収支報告書に関する形式審査権のみであり、御指摘のような「規正法や公職選挙法等各種法令に違反する事実の存在を示す記載内容を知り得た場合」は一般に想定されないと考えている。

二の1について

 個別の政治資金収支報告書の記載が、法第三十一条に規定する「記載すべき事項の記載が不十分であると認めるとき」に該当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されるべきものであり、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

 また、総務大臣等が政治資金収支報告書に記載すべき事項の記載が不十分であると認めるときは、同条により、当該報告書を提出した者に対して、説明を求め、又は当該報告書の訂正を命ずることができるとされており、これに従った対応を行うこととなる。

二の2及び3について

 個別の政治団体の政治資金収支報告書に関する形式審査の内容についてはお答えを差し控えたいが、一般に、御指摘の「収支報告書の受理の保留」を行うことはなく、総務大臣等において政治資金収支報告書に関して法第三十一条に基づき形式審査を行っているところである。

二の4について

 御指摘の「訂正命令」については、行っていない。

二の5の前段及び三の3の後段について

 一の1についてで述べたとおり、総務大臣等に与えられている権限は、政治資金収支報告書に関する形式審査権のみである。

二の5の中段及び後段について

 総務大臣等において、政治資金収支報告書に関して法第三十一条に基づき形式審査を行っているところである。

 また、一の1についてで述べたとおり、総務大臣等に与えられている権限は、政治資金収支報告書に関する形式審査権のみであり、御指摘のような「会計帳簿の備付けや記載、領収書の徴収が行われていなかったことを確認した場合」は一般に想定されないと考えている。

三の1、3の前段、5、7から9まで及び10の後段について

 お尋ねは、個別の政治団体の政治資金収支報告書に関する形式審査の内容に関するものであり、また、個別の議員の見解に関するものであることから、お答えすることは差し控えたい。

 なお、一般論として、法第十二条第一項の規定により、政治団体の会計責任者は、当該政治団体に係るその年における収入、支出及び資産等について政治資金収支報告書に記載しなければならないとされており、法上、当該政治団体に係る収入、支出又は資産等でないものについては記載する義務はない。

三の2について

 犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づき個々に判断されるべき事柄であり、お答えすることは差し控えたい。

三の4及び6について

 個別の政治資金収支報告書の記載が、法第三十一条に規定する「記載すべき事項の記載が不十分であると認めるとき」に該当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されるべきものであり、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

 なお、法第十二条第一項第一号ホの規定により、機関紙誌の発行その他の事業による収入については、その事業の種類及び当該種類ごとの金額を政治資金収支報告書に記載しなければならないとされている。

三の10の前段について

 お尋ねの「大塚議員が関係する政治団体」及び「清和研パーティーに関わる収支」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

四の1について

 政治資金収支報告書の内容は事実に即して記載されるべきものであることから、政治団体から事実に基づく訂正であるとの申出があった場合には、訂正していただく取扱いとしており、お尋ねの「修正を行うべきか」については、政治団体が判断すべきものと考える。

四の2及び3について

 お尋ねについては、総務省が令和六年四月三日に文書により舟山康江参議院議員事務所に対して回答したとおりであるが、いずれにせよ、個別の事案が法の規定に違反するか否かについては、具体の事実に即して判断されるべきものであり、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

四の4について

 お尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたいが、その上で、一般論として申し上げれば、国税当局においては、様々な機会を通じて課税上有効な各種資料情報の収集に努め、これらの資料情報と提出された申告書等を分析し、課税上問題があると認められる場合には、税務調査を行うなどして、適正かつ公平な課税の実現に努めているところである。

 また、一の1についてで述べたとおり、総務大臣等に与えられている権限は、政治資金収支報告書に関する形式審査権のみであり、御指摘のような「課税すべき所得が存在する可能性について、都道府県選管が知った場合」は一般に想定されないと考えている。