質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第一○四号
  令和六年四月十九日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出我が国の薬物乱用実態とそれが国家安全保障に与える影響に対する認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出我が国の薬物乱用実態とそれが国家安全保障に与える影響に対する認識に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「こうした中国の薬物への姿勢」の意味するところが必ずしも明らかではないが、警察庁においては、我が国への不正薬物の流入防止の観点から、例えば、国際会議等の場において、中国を含む関係国に対し必要な協力要請を行い、その協力を得るなどしているところ、その具体的内容については、相手国との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。

二について

 お尋ねの「医薬用フェンタニル」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、これが麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令(平成二年政令第二百三十八号)第一条第八十七号に掲げるN―(一―フェネチル―四―ピペリジル)プロピオンアニリド(別名フェンタニル)及びその塩類(以下「フェンタニル」という。)を意味するものであるとすれば、フェンタニルの輸入、譲渡し、譲受、施用、所持等について、麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)において規制されている。また、お尋ねの「悪用状況」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成三十一年から令和五年までの間における地方厚生局の麻薬取締部によるフェンタニルに係る同法違反の検挙件数は六件であり、お尋ねの「海外通販サイトから我が国に持ち込まれる薬物の流通実態」については、把握していない。

 また、お尋ねの「それら個人輸入として持ち込まれている薬物の真贋やその成分について、鑑定、検査する体制」の意味するところが必ずしも明らかではないが、輸入貨物については、税関において、関税法(昭和二十九年法律第六十一号)の規定に基づき、犯則事件を調査するため必要があるときは、関税中央分析所、地方厚生局の麻薬取締部等に鑑定を嘱託して、当該貨物に含まれる成分の分析を行っているところである。

 さらに、お尋ねの「フェンタニルが混入された非合法薬物」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、これが御指摘の「フェンタニルが混入された抗不安薬」を意味するものであるとすれば、「取締り、押収実績があるのか」とのお尋ねについては、調査に膨大な作業を要することから、網羅的にお答えすることは困難であるが、平成三十一年から令和五年までの間において、御指摘の「フェンタニルが混入された抗不安薬」について、「取締り、押収」を行った事例は把握していない。

三について

 お尋ねについては、これを明らかにすることにより、今後の警察活動に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。

四について

 お尋ねの「超限戦の一環としての「薬物戦」を展開している」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。