質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第八六号
  令和六年四月九日
内閣総理大臣臨時代理        
国務大臣 林 芳正


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員浜田聡君提出我が国における航空事故の事故調査と刑事捜査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出我が国における航空事故の事故調査と刑事捜査に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 御指摘の「ICAOの事故調査マニュアル」は、運輸安全委員会における航空事故に係る調査において参考としているが、当該マニュアルは国際民間航空条約(昭和二十八年条約第二十一号)の規定及び同条約の附属書として採択された標準等には該当しないものであり、御指摘のように「運輸安全委員会設置法第十八条第一項に基づき日本における航空事故調査においても特に重要な視点として採用し、準拠している」ものではない。

三について

 お尋ねの「刑事捜査によって航空事故調査による関係者の口述聴取が取れなかった事例」及び「航空事故調査に大きな支障をきたしたと認められた事実」については、把握していない。

四について

 お尋ねの「航空事故調査報告が刑事捜査又は司法判断に用いられた事例、用いられなかった事例」については、網羅的に把握することは難しく、調査に膨大な作業を要することから、お尋ねについてお答えすることは困難である。

五について

 お尋ねについては、運輸安全委員会における航空事故に係る調査において、当該事故の関係者から口述聴取を行う場合には、通常、当該調査の目的や、口述聴取の内容を当該調査の目的以外に使用しないこと等を当該関係者に対し、事前に説明しているところである。

六について

 御指摘の「関係者の口述聴取のうち運輸安全委員会が公表した事故調査報告書に記載されたもの」の刑事事件の公判における取扱いについては、個別具体的な事案に応じて裁判所において判断されるものである。

七について

 お尋ねの「適正な刑事捜査を行う上で専門性を補完するために用いられる資料」の意味するところが必ずしも明らかではないが、捜査においてどのような資料を用いるかについては、捜査機関の活動内容に関わる事柄であり、これを明らかにすることにより、今後の捜査活動に支障をもたらすおそれがあることから、お答えすることを差し控えたい。