質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第七六号
  令和六年三月二十九日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員須藤元気君提出TSMC誘致に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員須藤元気君提出TSMC誘致に関する再質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「承認印」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited(以下「TSMC」という。)及びJapan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社(以下「JASM」という。)から提出された特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律(令和二年法律第三十七号。以下「法」という。)第十一条第一項に規定する特定半導体生産施設整備等計画(以下「特定半導体生産施設整備等計画」という。)については、萩生田経済産業大臣(当時)において令和四年六月に同条第三項の認定(以下「認定」という。)を行い、当該特定半導体生産施設整備等計画に係る認定書には経済産業大臣の官印が押印されている。

 また、御指摘の「補助金等」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、当該特定半導体生産施設整備等計画に関連して、同大臣において、これまでに、TSMC及びJASMに対して、同月に最大で四千七百六十億円、令和六年二月に最大で七千三百二十億円、総額最大で一兆二千八十億円の助成金の助成を含め、認定を行った。なお、TSMCの子会社であるTSMCジャパン3DIC研究開発センター株式会社が中心となって実施を進める半導体の製造技術に関する研究開発事業に対して、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」という。)において、NEDOの進めるポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業の一環として、令和三年五月に最大で約百八十九億円の助成金の採択を行った。

二について

 お尋ねについては、御指摘の「FinFet技術」を有していることを自社のウェブサイトにおいて公表している企業として、TSMC以外にも、例えば、Intel CorporationやSamsung Electronics Company Limitedが存在すると承知している。

三について

 TSMC及びJASMは、法第十一条第三項各号に掲げる要件を満たすことを始め、法の規定を遵守する必要があり、先の答弁書(令和六年三月五日内閣参質二一三第四六号)五についてで述べたとおり、認定を受けた者(以下「認定事業者」という。)が認定に係る特定半導体生産施設整備等計画に従って法第二条第五項に規定する特定半導体生産施設整備等を実施していない、又は法第十一条第三項各号のいずれかに適合しないものとなったと認められるときは、経済産業大臣は、法第十二条第二項及び第三項の規定に基づき、当該特定半導体生産施設整備等計画の変更を指示し、又は当該認定を取り消すことができるとされており、これを踏まえ、助成金の交付を受けた認定事業者に対して当該認定に基づく助成金の返還を請求することが必要な場合においては、当該助成金の交付に係る業務を行うNEDOにおいて、特定半導体基金事業費助成金交付規程(令和四年四月三十日付けNEDO作成)に基づき、請求する返還額については経済産業省からの指示に従い、適切に対応していくものと承知している。このように、TSMC及びJASMが特定半導体生産施設整備等計画に基づき事業を進めるに当たって、TSMC及びJASMは法の規定を遵守する必要があり、政府とTSMC及びJASMとの間で契約を締結することは想定されていないことから、お尋ねの「契約書」というものは存在しない。

 また、御指摘の「利益供与」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねの「利益供与に該当する可能性」についてお答えすることは困難であるが、先の答弁書(令和六年三月十五日内閣参質二一三第六四号)一の2についてで述べたとおり、TSMC及びJASMから提出された特定半導体生産施設整備等計画において、「TSMCは、日本政府からの要請に応じ、日本の顧客向けの供給拡大について誠実に協議に応じる」等といった旨の記載がなされているところ、TSMCは、台湾においても特定半導体(法第二条第四項に規定する特定半導体をいう。以下同じ。)の生産施設を有し、当該協議の結果として、我が国の事業者向けに一定程度の特定半導体の供給拡大が期待できることから、「意味がない計画である」との御指摘は当たらないものと考えている。