質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第五二号
  令和六年三月八日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出歴史認識に関わる我が国の政策に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出歴史認識に関わる我が国の政策に関する再質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「公衆の意識や態度」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国として、国際社会において、客観的事実に基づく正しい歴史認識が形成され、我が国の基本的立場や取組に対して正当な評価を受けるべく、先の答弁書(令和六年二月六日内閣参質二一三第四号。以下「前回答弁書」という。)一の2及び3についてで述べた取組を行い、これらの取組の対象となった者の反応や外国における調査の結果について、外務省において種々の検証を行ってきているところ、我が国の平和国家としての歩みについては国際的に高い評価を得ていると認識しているが、お尋ねの「国際機関や他国政府からの具体的なフィードバック」を含め、当該検証の詳細及びお尋ねの「具体的な計画」については、相手方との関係もあり、また、これらを明らかにすることにより、戦略的に取り組んでいる対外発信の効果が減ずるおそれがあることを含め、同省の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、お答えすることは差し控えたい。

二及び三の3について

 御指摘の「客観的事実に基づく正確な歴史認識の発信に努める海外の有識者や団体」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、御指摘のように「対外発信の効果を最大化するため」及び国際社会において歴史認識を始めとした幅広い分野に関する我が国の立場や考え方への理解を得るために、御指摘のように「海外の有識者や団体」との連携を強化すること等が重要であると認識しており、引き続き、こうした対外発信の取組について、御指摘の「誤解や誤情報」への対応を含め、課題や手法を不断に検討を行いつつ、進めていく考えである。これ以上の詳細については、相手方との関係もあり、また、これを明らかにすることにより、戦略的に取り組んでいる対外発信の効果が減ずるおそれがあることを含め、外務省の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、お答えすることは差し控えたい。

三の1について

 お尋ねの「どのような歴史的、国際的な文脈が考慮されたか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、いわゆる「南京事件」に関する政府の見解は、前回答弁書一の1についてで述べたとおりであり、御指摘の「戦史叢書 支那事変陸軍作戦」を含め、それまでに公になっていた文献等から総合的に判断したものであるが、例えば、「戦史叢書 支那事変陸軍作戦〈一〉―昭和十三年一月まで―」において、「遺憾ながら同攻略戦において略奪、婦女暴行、放火等の事犯がひん発した。これに対し軍は法に照らし厳重な処分をした。」、「たとえ少数であったとしても無辜の住民が殺傷され、捕虜の処遇に適切を欠いたことは遺憾である。」等の記載があるものと承知している。

三の2について

 お尋ねの「具体的な数については「様々な議論があるため断定することは困難」と述べているが、根拠となる文書類がないのであれば、曖昧な表現を避けるべきではないか。」及び「この曖昧さが国内外での誤解や誤情報を招いている可能性」の趣旨が必ずしも明らかではないが、いわゆる「南京事件」に関する政府の見解は、三の1についてで述べた判断に基づくものである。