第213回国会(常会)
内閣参質二一三第三二号 令和六年二月二十七日 内閣総理大臣 岸田 文雄
参議院議長 尾辻 秀久 殿 参議院議員辻元清美君提出イージス・システム搭載艦の費用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員辻元清美君提出イージス・システム搭載艦の費用に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねについては、艦艇の建造費を除いた経費として、イージス・システムの艦艇への搭載に係る技術支援を得るための、米国の有償援助による調達に係る経費約四百二十八億円及び搭載武器の取得に係る経費約百八十九億円が含まれる。 二について 前段のお尋ねについては、御指摘の「約三千九百二十億円」のうち、各年度の予算編成に当たって用いた外国貨幣換算率(支出官事務規程(昭和二十二年大蔵省令第九十四号)第十一条第二項第四号に規定する外国貨幣換算率をいう。)については、令和元年度及び令和二年度においては一ドル=百十円、令和四年度においては一ドル=百八円、令和五年度においては一ドル=百三十七円、令和六年度においては一ドル=百三十九円である。 後段のお尋ねについては、御指摘の「外国に支出をする経費」の意味するところが必ずしも明らかではないが、米国の有償援助による調達に係る経費は、イージス・システム搭載艦二隻分の取得経費約七千八百三十九億円のうち、約三千六十二億円である。このうち、令和六年一月末時点で支払を行っていない金額は約千六百八十一億円である。 三について お尋ねの「事実関係」については、令和五年十一月十日の衆議院外務委員会において、宮澤防衛副大臣(当時)が「まず一つ目は、イージスシステム搭載艦としての船体設計が進捗したことによる船体建造費の精緻化。二つ目は、円安に伴う為替レートの変動。三つ目は、昨年からの国内外の全般的な更なる物価の上昇。四点目は、アメリカ政府等との協議の進捗による各種装備品、システム等のインテグレーションに係る内容、経費の精緻化。」と述べているとおりである。 その上で、イージス・システム搭載艦は、洋上での弾道ミサイルの探知や迎撃の安定性を確保し、また、就役後に搭載される装備品に対する拡張性を確保することを目的に大型の艦艇として整備するものであり、SPY―7を搭載すること自体を目的に大型の艦艇として整備するものではない。 四について イージス・システム搭載艦の取得経費については、御指摘の令和五年十一月十日の衆議院外務委員会における答弁のとおりであるが、一般論としては、外貨による見積額を邦貨に換算して予算に計上した経費に係る実際の支払額については、為替の変動により変動する可能性がある。 五について 御指摘の「今後搭載を予定する構成品(部品)」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、イージス・システム搭載艦の取得経費には、就役の時点で搭載される構成品の取得に係る経費が含まれており、就役後に搭載される装備品の取得に係る経費は含まれていない。 六について お尋ねの「レーダー(SPY―7)の取得に関する経費」は、令和元年度予算において陸上配備型イージス・システム(以下「イージス・アショア」という。)の構成品として取得したSPY―7に係る経費約三百五十一億円を、令和四年度予算においてSPY―7の仕様の変更に係る経費約五十八億円を、それぞれ計上したところであり、これらのうち令和六年一月末時点で支払済みの金額は約三百四十八億円である。 また、御指摘の「SPY―7と関連システムに係る経費として、米国と約千八百億円の契約を締結していた」の意味するところが明らかではないため、中段のお尋ねにお答えすることは困難である。 なお、四についてで述べたとおり、一般論としては、外貨による見積額を邦貨に換算して予算に計上した経費に係る実際の支払額については、為替の変動により変動する可能性がある。 七について イージス・アショアの構成品として取得し、イージス・システム搭載艦の整備に用いるものについては、SPY―7及びイージス・システムが該当する。それぞれの構成品の取得に係る契約額は、SPY―7が約三百五十億円、イージス・システムが約千三百八十二億円である。 八について お尋ねの「約三千九百二十億円」に含まれるイージス・アショアの構成品として取得したものの経費は、七についてで述べたとおりである。これらに加え、SPY―7の仕様の変更に係る経費約五十八億円、艦艇の設計に係る経費約二十億円、搭載武器や原動機等の構成品の取得に係る経費約二千二百九十八億円、艦艇の建造費約三千百十四億円及び一についてで述べた経費を合算して隻数で除した一隻当たりの金額が約三千九百二十億円である。 九について イージス・アショアの構成品として取得したものの経費は、令和元年度予算に計上していることから、「防衛力整備計画」(令和四年十二月十六日閣議決定。以下「防衛力整備計画」という。)を実施するために新たに必要となる事業の契約額のうちの、イージス・システム搭載艦の取得に係る経費約〇・四兆円には含まれていない。 十について お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、イージス・アショアの構成品として取得したSPY―7及びイージス・システムに関する支払額は、防衛力整備計画において「二千二十三年度から二千二十七年度までの五年間における本計画の実施に必要な防衛力整備の水準に係る金額」としている金額に含まれている。 十一について イージス・システム搭載艦のライフサイクルコストについては、現時点において、米国等と調整し、詳細な金額の積算を進めているところであり、具体的にお答えできる段階にない。 なお、お尋ねの「イージス・アショア用に取得した構成品(部品)に係る経費」については、SPY―7及びイージス・システムの取得に係る経費がイージス・システム搭載艦のライフサイクルコストに含まれる予定であり、それぞれの契約額は、七についてで述べたとおり、SPY―7が約三百五十億円、イージス・システムが約千三百八十二億円である。 十二について お尋ねの「結果としてコストの上昇を招いている政策決定過程」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、SPY―7を含む構成品の性能、コスト、スケジュール等を考慮して総合的に検討した結果、「新たなミサイル防衛システムの整備等及びスタンド・オフ防衛能力の強化について」(令和二年十二月十八日閣議決定)において、「陸上配備型イージス・システムに替えて、イージス・システム搭載艦二隻を整備する」ことを決定したものであり、政策決定過程として適切であったと考えている。 十三について イージス・アショアの構成品であるSPY―7及びイージス・システムの取得に係る経費は令和元年度予算に計上したことから、御指摘の「約六千億円」には含まれていない。 十四について 現時点において、御指摘の「弾道ミサイル迎撃用にSPY―7を搭載するイージス艦」を配備している国はないと承知している。 十五について 政府としては、御指摘の内容にも留意しつつ、イージス・システム搭載艦の効率的な整備に向けて、引き続き適切に対応していく考えである。 十六について 就役後にイージス・システム搭載艦に搭載される装備品を現時点で網羅的にお示しすることは困難であるが、例えば、十二式地対艦誘導弾能力向上型は就役後に搭載する予定であり、これに係る経費は防衛力整備計画を実施するために新たに必要となる事業の契約額には含まれていない。 十七について お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、防衛力整備計画を実施するために新たに必要となる事業の契約額に含まれているイージス・システム搭載艦に係る経費は、取得経費約〇・四兆円及び関連経費約〇・一三兆円であり、これらの経費のうち、ライフサイクルコストに含まれる金額については、現時点において、詳細な金額の積算を進めているところであり、具体的にお答えできる段階にない。 十八について 令和三年四月二十二日の参議院外交防衛委員会における佐藤正久参議院議員の発言は、平成二十六年度に防衛省が公表したまや型護衛艦のライフサイクルコストに係るものであり、イージス・システム搭載艦のライフサイクルコストの見積りとは異なるものである。 イージス・システム搭載艦のライフサイクルコストについては、十一についてで述べたとおり、現時点において、米国等と調整し、詳細な金額の積算を進めているところであり、具体的にお答えできる段階にない。 十九から二十一までについて イージス・システム搭載艦のライフサイクルコストについては、十一についてで述べたとおり、現時点において、米国等と調整し、詳細な金額の積算を進めているところであり、まや型護衛艦のライフサイクルコストとの比較を含め、具体的にお答えできる段階にない。 二十二について 令和六年度予算案においては、イージス・システム搭載艦の取得経費として約三千七百三十一億円を計上しており、このうち艦艇の建造費を除いたものの内訳及び金額は一についてでお答えしたとおりである。このほか、各種試験の準備等の関連経費として約八百十五億円及び構成品の生産ラインの構築等に必要な初度費として約十二億円を計上している。 |