質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第二五号
  令和六年二月二十日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員齊藤健一郎君提出能登半島地震に伴う災害派遣の自衛官の移動費及び代休取得に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員齊藤健一郎君提出能登半島地震に伴う災害派遣の自衛官の移動費及び代休取得に関する質問に対する答弁書

一について

 国家公務員に対して支給される旅費については、国家公務員等の旅費に関する法律(昭和二十五年法律第百十四号)において定められており、同法第三条第一項において、旅費は出張した場合等に支給するものとされているが、帰省は私的な旅行であって同法第二条第一項第六号に規定する出張には当たらないため、在勤地と帰省先との間の移動に要する費用については、旅費は支給されない。

 また、私的な旅行について国費を支出することに係る他の根拠も存在しないことから、御指摘の「災害派遣など職務上必要な部隊への帰隊費用」について国費を支出することはできない。

二について

 御指摘の「代日休養の指定が部隊長によって原則通りなされていない」及び「一部の隊員、特に幹部に代休の付与がなされていない」の事実関係について政府として全てを把握しているわけではないが、長時間労働が継続することは、心身の健康や福祉に害を及ぼすおそれがあることから、所属長(自衛隊法施行規則(昭和二十九年総理府令第四十号)第四十四条第十二項に規定する所属長をいう。以下同じ。)は、自衛官に対し休養日の勤務を命じた場合には、同令第四十三条第三項等に基づき、命じた勤務時間に応じて休養日以外の日に休養させることができることとしており、また、「防衛省における女性職員活躍とワークライフバランス推進のための取組計画について(通達)」(令和三年三月二十五日防人計(事)第四五号)において「休養日又は休日の勤務を命じた場合には、命じられた分に相当する代日休養又は代休日を指定するよう努める。」としているところであり、これを改めて周知するなど、御指摘の「代日休養」の取得促進を図ってまいりたい。

 また、御指摘の「五十二週経過による代休の失効についても問題である。更に、人事教育局長が代休の付与に五十二週間で失効する期限を設けることは適切ではない」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、先に述べたとおり、長時間労働が継続することは、心身の健康や福祉に害を及ぼすおそれがあるため、休養日において勤務を命ぜられた自衛官に対し「代日休養」を取得させることについての実効性を担保する観点から、一定の期間内にその期限を設けることは必要な措置であると考えている。

三について

 お尋ねの「近年の自殺率の増加や採用の悪化にも影響を与えている」か否かについては、様々な要因が影響していると考えられることから一概にお答えすることは困難であるが、二についてで述べたとおり、長時間労働が継続することは、心身の健康や福祉に害を及ぼすおそれがあることから、所属長は、自衛官に対し休養日の勤務を命じた場合には、休養日以外の日に休養させるよう努めることとしており、これを改めて周知するなど、御指摘の「代休取得」の促進を図ってまいりたい。

四について

 御指摘の「東京都の災害派遣手当等」は、災害派遣手当等の支給に関する条例(平成七年東京都条例第七十六号)第二条及び別表に定める支給要件を満たす場合に支給されるものと承知しているところ、自衛官に支給される災害派遣等手当は、防衛省の職員の給与等に関する法律施行令(昭和二十七年政令第三百六十八号)別表第五等に定める支給要件を満たす場合に支給されるものであり、これらの手当の趣旨が異なるため、その額について一概に比較することは困難である。

 いずれにせよ、自衛隊員の人的基盤の強化を図る上で処遇の向上は重要と考えており、適切な処遇の在り方について、引き続き検討していく考えである。