質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第二一号
  令和六年二月十六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員石垣のりこ君提出公の施設における表現の自由に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石垣のりこ君提出公の施設における表現の自由に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「パブリック・フォーラム」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、憲法第二十一条第一項が保障する表現の自由と公共施設等の施設の管理等との調整に関しては、これまで様々な施設に関する最高裁判所の判例があると承知しており、それぞれの事案の内容や施設の性質、関係法令の規定の内容等を踏まえた判示がされていると承知している。

 政府としては、表現の自由は、憲法で保障された基本的人権の一つであり、これを尊重することは当然のことであると考えており、また、一般論として、表現の自由が、公共の福祉のため必要な場合に、合理的な限度において制約を受けることはあり得ると考えられるところ、最高裁判所が関連する判決において示した考え方を尊重しつつ、個別の事案ごとの諸般の事情を勘案して公共施設等の管理等が行われることが適切であると考えている。

二について

 御指摘の「正当な言論活動」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「公の施設」が、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十四条第一項に規定する公の施設(以下「公の施設」という。)を指すものであるとすれば、お尋ねについては、公の施設に該当する集会の用に供する施設に関する事案について、平成八年三月十五日最高裁判所第二小法廷判決(以下「本判決」という。)において、「主催者が集会を平穏に行おうとしているのに、その集会の目的や主催者の思想、信条等に反対する者らが、これを実力で阻止し、妨害しようとして紛争を起こすおそれがあることを理由に公の施設の利用を拒むことができるのは、前示のような公の施設の利用関係の性質に照らせば、警察の警備等によってもなお混乱を防止することができないなど特別な事情がある場合に限られるものというべきである」との判示がされていると承知している。

 政府としては、地方公共団体が自ら管理する公の施設に該当する施設の管理等に当たっては、本判決を含め、最高裁判所が関連する判決において示した考え方を踏まえて対応がなされているものと考えており、また、政府が管理する公の施設に類する施設の管理等に当たっても、本判決を含め、最高裁判所が関連する判決において示した考え方を尊重しつつ、それぞれの施設の性質、憲法及び関係法令の趣旨等を踏まえ、個別の事案ごとの諸般の事情を勘案して当該施設の管理等が行われることが適切であると考えている。