第213回国会(常会)
内閣参質二一三第一四号 令和六年二月十三日 内閣総理大臣 岸田 文雄
参議院議長 尾辻 秀久 殿 参議院議員浜田聡君提出国の専決事項たる外交や安全保障を侵害する非核神戸方式に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員浜田聡君提出国の専決事項たる外交や安全保障を侵害する非核神戸方式に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねの「いわゆる「非核神戸方式」」に関する現在の政府の見解は、平成十六年三月十六日の参議院外交防衛委員会において、川口外務大臣(当時)が「地方公共団体がいわゆる非核証明書の提出を求めて、そしてその結果に基づいて港湾施設の使用について決定を行うということは、これは、外交関係の処理を行う国の決定に地方公共団体が関与し、あるいは制約をするということでありまして、港湾管理者の権能を逸脱するものである、そして地方公共団体の権能の行使としては許されないというふうに考えております。我が国は、御案内のように、非核三原則ということを国の基本原則、基本政策として堅持をしているわけでして、国が外国軍艦に対して寄港の同意を与えるか否かについて決定をする際にはこの基本政策を堅持するという立場を踏まえて対処をしてきている」と答弁しているとおりである。 二から四までについて 港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第一項に規定する港湾管理者としての地方公共団体の業務については、同法第三十四条において、同法第十二条及び第十三条の規定を準用すると規定されているところ、お尋ねについては、御指摘の「外国軍の艦艇の入港の可否を判断し、拒絶し阻止する」、「国が認めた外国軍の艦艇の入港について拒絶し阻止すること」及び「当該外国軍艦艇の神戸港入港を拒絶すること」の具体的な状況並びに「違法」、「現行法及び現行制度」及び「不可能である」の具体的に意味するところが明らかではないため、確定的にお答えすることは困難であるが、一般論として申し上げれば、平成十一年三月十六日の参議院予算委員会において、川崎運輸大臣(当時)が「港湾の適正な管理運営に支障がなく、非核証明が提出されないという理由、これが特定な理由になるかということでありますけれども、外国艦船の港湾施設の使用を拒否した場合には港湾法第十三条第二項の不平等な取り扱いの禁止に抵触することがあり得ると認識いたしております」及び「地方公共団体が非核港湾条例等により、外国艦船が核兵器を積載していないことを証する文書の提出を求め、その結果に基づき港湾施設の使用に関し決定を行う場合には、外交関係の処理に当たる国の決定に地方公共団体が関与し、またこれを制約するものである、したがって港湾管理者の権能を逸脱するものであると考えております」と答弁しているとおりである。 五について お尋ねのように「神戸市」が「インドネシア海軍に対して非核証明書を提出」させたか否かについては、地方議会議員の個別の発言の内容に関わるもの又はそれを前提としたものであり、政府としては、お答えすることは差し控えたい。 六について お尋ねのいわゆる「非核神戸方式について」「説明がなされているのか」を含め、お尋ねの「入港する外国艦艇の属する軍や政府」とのやり取りの詳細についてお答えすることは、相手方との関係もあり差し控えたいが、いずれにせよ、政府としては、非核三原則を堅持する方針であり、こうした考え方は、これまで様々な場で繰り返し表明してきており、これらの相手方を含め、諸外国も十分承知しているものと考えている。 七について お尋ねの「神戸市のいわゆる「非核神戸方式」に対して、日本政府が把握するこれまで米軍をはじめ米国政府の見解やとった行動」については、相手方との関係もあること及び今後の外務省等の事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、その詳細について明らかにすることは差し控えたいが、米国政府においては、一般的に、特定の艦船における核兵器の存在については肯定も否定もしないという政策を継続してとってきており、御指摘の「いわゆる「非核神戸方式」」導入以降も、当該政策を変更していないと承知している。お尋ねの「これまで日本政府が米国政府に対して非核神戸方式について情報提供をしたことはあるのか」については、外交上のやり取りの詳細に当たり、相手方との関係もあることから、お答えすることは差し控えたい。 八について お尋ねの「救援の打診」があったことは事実である。 九について お尋ねについては、個々の報道を前提とした質問であること並びに神戸市及び米側との関係もあることから、政府としてお答えすることは差し控えたい。 十及び十一について 御指摘の「いわゆる「非核神戸方式」」に関する政府と神戸市との間でのやり取りについては、相手方との関係もあること及び今後の外務省等の事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、その詳細をお答えすることは差し控えたいが、いずれにせよ、一についてで述べた見解を踏まえ、今後とも必要に応じて適切に対応していく考えである。 |