質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第一三号
  令和六年二月十三日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員浜田聡君提出台湾政府の内政部より処分を受けた人物の在留及び帰化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出台湾政府の内政部より処分を受けた人物の在留及び帰化に関する質問に対する答弁書

一について

 台湾との関係に関する我が国の基本的立場は、昭和四十七年の日中共同声明第三項を踏まえ、非政府間の実務関係として維持するというものであり、御指摘の「覚書」については、公益財団法人交流協会(当時)と亜東関係協会(当時)との間で作成されたものであることから、「覚書」に関するお尋ねについて政府としてお答えする立場にない。

 御指摘の「出向」の意味するところが必ずしも明らかではないが、人事院規則一一-四(職員の身分保障)第三条第一項第一号に該当するものとして同項の規定による休職の発令を受けた法務省職員が公益財団法人日本台湾交流協会において業務に従事した実績はある。

二について

 お尋ねについては、個別の事案に応じて判断されるものと考えており、一概にお答えすることは困難であるが、一般論として、在留許可及び帰化の判断については、申請者の素行や許可の必要性等を総合的に勘案して行っている。

三について

 台湾は、我が国との間で緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーであり、政府としては、一についてで述べた我が国の基本的立場を踏まえ、日台間の実務関係が着実に発展していくことを期待しており、日本と台湾の出入国管理及び帰化に関する分野においても非政府間の実務関係として維持してまいりたい。

四について

 お尋ねの「日本国籍をはく奪すること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論として申し上げれば、申請者の詐欺等重大な不正行為に基づき帰化許可処分が行われた場合には、法務大臣において、当該帰化許可処分の取消しにより回復される公益と申請者の受ける不利益等を総合考慮した上で、当該帰化許可処分を取り消すこともあり得ると考えている。

五について

 お尋ねのような「いずれの在留資格であるにせよ許可を取り消す」制度は、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)に規定されていないが、これが同法第二十二条の四に規定する在留資格の取消制度を指すのであれば、当該制度における在留資格の取消事由は、同条第一項各号に掲げられており、これまでに同項第一号等に該当するとして在留資格を取り消された例はあるが、犯罪をしたこと自体は同項各号に掲げられている在留資格の取消事由とはなっていない。

 なお、在留資格の取消制度は、同法別表第一又は別表第二の上欄の在留資格をもって在留する外国人(同法第六十一条の二第一項の難民の認定を受けている者を除く。)が対象とされており、日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)に基づく特別永住者は含まれない。