質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第六号
  令和六年二月六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員石垣のりこ君提出線状降水帯予想の適中率に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石垣のりこ君提出線状降水帯予想の適中率に関する質問に対する答弁書

一について

 前段のお尋ねについては、気象庁のホームページにおいて、「現在、十分先、二十分先、三十分先のいずれかにおいて、以下の基準をすべて満たす場合に発表。

 一.前三時間積算降水量(五キロメートルメッシュ)が百ミリメートル以上の分布域の面積が五百平方キロメートル以上

 二.一.の形状が線状(長軸・短軸比二・五以上)

 三.一.の領域内の前三時間積算降水量最大値が百五十ミリメートル以上

 四.一.の領域内の土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)において土砂災害警戒情報の基準を超過(かつ大雨特別警報の土壌雨量指数基準値への到達割合八割以上)又は洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)において警報基準を大きく超過した基準を超過」と示しているとおりである。

 後段のお尋ねについては、同庁においては、先に述べた「基準」を全て満たす大雨が発生する可能性がある程度高いことが予測される場合、当該大雨が発生すると考えられる半日程度前から、「線状降水帯」という用語を用いて、国民に対して呼び掛けを行っているところ、当該呼び掛けを行った後に、当該大雨が発生した場合、御指摘の「線状降水帯の発生の予測ができた」と判断している。

二について

 お尋ねの「「顕著な大雨に関する気象情報」を発した件数」とは、気象庁が、令和五年において、一についてで述べた「呼び掛け」を行った件数を指すものと考えられるが、同件数は二十二件である。そのうち、御指摘の「線状降水帯の発生を予測できたと判定した件数」は九件であり、御指摘の「予測したけれども線状降水帯が発生しなかったと判定した件数」は十三件である。また、お尋ねの「割合」は約四十一パーセントである。

三について

 お尋ねの「全国で線状降水帯が発生した件数」は二十三件である。そのうち、御指摘の「線状降水帯の発生を予測できたと判定した件数」は九件である。また、お尋ねの「割合」は約三十九パーセントである。

四について

 お尋ねの「全国で線状降水帯が発生した件数のうち、「顕著な大雨に関する気象情報」を発しなかった件数」とは、気象庁が、令和五年において、一についてで述べた「呼び掛け」を行わなかった件数を指すものと考えられるが、同件数は十四件である。また、お尋ねの「割合」は約六十一パーセントである。

五について

 御指摘の「線状降水帯」については、その発生メカニズムについて未解明な部分が多く、正確な予測が困難であるところ、気象庁としては、令和五年における御指摘の「適中率」及び御指摘の「捕捉率」について、当初の想定よりは高いと考えるが、今後とも、御指摘の「線状降水帯」の予測の精度の向上に努めてまいりたい。

六について

 気象庁においては、御指摘の「線状降水帯の予測」について、具体的な数値目標は設定していないが、今後とも、御指摘の「線状降水帯」の予測の精度の向上に努めてまいりたい。お尋ねの「意義」については、御指摘の「線状降水帯」が発生することにより大規模な災害の危険性が急速に高まることから、国民に対して御指摘の「呼びかけ」を行うことで、災害に対する事前の備えや速やかな災害対応に資すると考えている。また、お尋ねの「実態」については把握していないが、同庁において実施した地方公共団体に対するアンケート結果によれば、同庁による御指摘の「顕著な大雨に関する気象情報」の発表が、地方公共団体における防災体制の強化の判断や避難情報の発令の判断に活用されており、当該発表が、地方公共団体による情報発信を通じて、御指摘の「国民の具体的な避難行動」に寄与しているものと考えている。