第213回国会(常会)
質問第二三四号 離婚の結果としてのひとり親世帯が置かれている困難な状況の克服に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年六月二十一日 牧山 ひろえ
参議院議長 尾辻 秀久 殿 離婚の結果としてのひとり親世帯が置かれている困難な状況の克服に関する質問主意書 一 ひとり親世帯の現状について 離婚後の子の養育をめぐっては、養育費や親子交流(面会交流)の在り方について世間の関心が高まっている。 近年、物価の高騰等を原因として国民生活がますます苦しくなっている。こうした中、子育てを懸命に頑張っているひとり親世帯に対して養育費が確実に支払われることは、ひとり親世帯の生活困窮を防ぐ観点からも、大変重要である。 しかしながら、養育費や親子交流をめぐる現状は、大変厳しいものとなっている。 こども家庭庁が令和五年十月に公表したひとり親世帯に関する資料によれば、養育費の取り決めをしている割合は、母子世帯で四十六・七%、父子世帯で二十八・三%であり、いずれも五割を下回っている。また、取り決めの有無にかかわらず、現在も養育費を受給している割合は、母子世帯で二十八・一%、父子世帯で八・七%であり、いずれも低い割合にとどまっている。 一方、親子交流の取り決めをしている割合は、母子世帯で三十・三%、父子世帯で三十一・四%である。また、取り決めの有無にかかわらず、現在も親子交流を行っている割合は、母子世帯で三十・二%、父子世帯で四十八%となっている。養育費の割合と同様に、こちらも低い水準であると言える。 この調査結果に限らず、離婚の結果としてのひとり親世帯の現状をどのように考えているか、政府の認識を示されたい。 二 養育費・親子交流(面会交流)について ひとり親世帯が養育費を受け取ることができ、また、別居親との親子交流が円滑に行われるためには、まず、離婚の際に養育費と親子交流に関する取り決めが行われるよう、離婚当事者に促していく必要がある。 平成二十三年の民法改正では、父母の離婚時の養育費や面会交流についての取り決めを促進する観点から、父母が離婚をする場合に定める事項の例として、監護に要する費用の分担(養育費)や面会交流を明示する見直しが行われた。この改正趣旨の周知のため、平成二十四年四月に、離婚届用紙の様式が改定され、養育費や面会交流の取り決めの有無を尋ねるチェック欄が設けられたものと承知している。 1 離婚届用紙の様式改定について、どのような成果が得られたのか。 2 離婚届用紙の様式改定のほかにも、養育費や親子交流の取り決めが行われることを促進するような取組があれば、その内容と成果について示されたい。 三 養育費の支払確保について 養育費の支払が確保されるためには、離婚の際に養育費の取り決めが確実に行われるようにすることが重要であるが、それに加えて、養育費の支払が滞った場合にも、ひとり親世帯がしっかりと養育費を受給できる仕組みづくりが必要であると考える。 例えば、諸外国や一部の自治体では、行政機関が一時的に養育費を立て替えてひとり親に養育費を支払うという制度があると承知しているが、養育費の立替え払い制度は、扶養義務者の資力が不十分な場合であっても、速やかに権利者や子を救済することができるメリットがあるとされる。 1 養育費の立替え払い制度について、これまでに政府内でどのような議論が行われてきたのか。また、導入に当たってどのような課題があると認識しているのか。 2 我が会派は、公的機関による養育費の立替え払い及びこれに要した費用の求償に関する法制度の在り方について検討することが必要であると考えている。 また、衆議院では、今回の法案に対して、「公的機関による養育費の立替払い制度など、養育費の履行確保のさらなる強化について検討を深めること」とする附帯決議が、議決されている。 養育費の立替え払いの導入に向けた検討について、今後、どのような方向性で進めていくお考えか。政府の方針を示されたい。 右質問する。 |