第213回国会(常会)
質問第二三三号 手数料の利子が技能実習の適正化に与える影響に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年六月二十一日 牧山 ひろえ
参議院議長 尾辻 秀久 殿 手数料の利子が技能実習の適正化に与える影響に関する質問主意書 技能実習生が来日するために多額の手数料が必要であり、それらの費用を調達するために多額の借金を背負って来日していることについて、周知が進んできた。しかし、技能実習をめぐる収支に関しての全体像はいまだ明らかにされていない。以上を踏まえて、以下質問する。 一 技能実習生として来日するために必要とされる借金について政府は、どこからどのような条件で借りているかということについて、その実態を把握しているか。 二 実情としては、家族や親戚、銀行等から借金ができない貧しい多くの実習生は、送り出し機関や仲介者から高い金利の借金をせざるを得ない。送り出し機関や仲介者から実習生に対し、二十~三十%若しくはそれを超える高利で貸し出している実態もある。 OTIT(外国人技能実習機構)の調査でも、「いくら借金したか」を尋ねているにすぎず、「いくら返さなければならないか」についての問い掛けは行われてはいない。 1 技能実習生が置かれている収入支出に関する状況については、「借金額」よりも「要返済額」の方が、実習生自身にとってむしろ重要ではないか。 2 今後は、手数料の利息についても実情を調査するべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 三 手数料に高い利息が設定されていることが、日々利息が膨らんでいく中で、一刻も早く借金を返済したい。そのためには、当初の雇用条件どおりに収入が得られず借金が返せなくなる不安から逃れたい、少しでも高い収入を、という収支構造が多くの失踪者を生んでいる側面がある。この失踪者の続出を始めとする高利が生んだマイナスの影響について、どのように認識しているか。 四 手数料に掛かる高利によって、送り出し機関や仲介者が多額の利益を得る構造となり、その利益の還元や恩恵を監理団体や受入企業が享受していること自体が、国際労働基準「ゼロフィー」の適用を鈍らせているのではないか。政府の認識を示されたい。 五 我が国としては、国際労働基準「ゼロフィー」を遵守する明確な姿勢を示し、アジアの労働者移動の国際ルールを日本が率先して確立していくべきと考えるが、政府の決意を示されたい。 右質問する。 |