第213回国会(常会)
質問第二三二号 ゼロフィー(手数料ゼロ)の推進に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年六月二十一日 牧山 ひろえ
参議院議長 尾辻 秀久 殿 ゼロフィー(手数料ゼロ)の推進に関する質問主意書 技能実習において、来日する技能実習生が出身国の送り出し機関や仲介者に支払う多額の手数料や、それを支払うために高利の借入れをするなど、来日前から利権構造に組み込まれてしまっており、頻発する人権侵害の背景的な事情となっているとの指摘がなされている。以上を踏まえ、以下質問する。 一 日本は、ILO百八十一号条約(民間職業仲介事業所条約)を一九九九年に批准し、罰則もある職業安定法第三十九条により、国内ではリクルート費用を本人負担させてはならないことが徹底されている。 この職業安定法第三十九条は、外国人労働者への適用を除外していないという理解で間違いないか。 二 政府は、ILO百八十一号条約につき、送り出し国が批准しておらず、国内法で規制していないことを理由に、事実上手数料徴収を放任してきた経緯がある。それにつき、ILO百八十一号条約の規制対象は国内の仲介業者であり、批准していない国の送り出し機関は対象外という旨の見解を根拠としているためと思われるが、これでは相手国の取扱いを通じて実質的にILO百八十一号条約に違反する事態を容認していることにならないか。 1 この点につき政府の見解を示されたい。 2 ILO百八十一号条約に批准している他の国々は、批准していない国の送り出し機関について、批准国の規制の対象外という解釈をしているか。 三 フィリピンは、ILO百八十一号条約を批准していないが、日本で規制されていることから、国内法で日本への労働者派遣においては手数料徴取を禁止している。 1 ILO百八十一号条約の趣旨を厳格に実践するためにも、交渉により、フィリピンの対応と同様の措置を、ベトナム等の未批准国にも要請すべきではないか。 2 今までベトナム等の未批准国に対して、そのような打診や折衝を行ったことはあるか。 3 ILO百八十一号条約を批准しているモンゴル国とのMOC(二〇一七年十二月二十一日)において、送り出し機関の認定基準に「技能実習生又は技能実習生になろうとする者(以下「技能実習生等」という。)から徴収する手数料その他の費用について、算出基準を明確に定めて公表し、当該手数料その他費用の詳細について技能実習生等に十分に理解をさせるために説明すること。」と他の未批准国となんら変わらない記述であることはなぜか、理由を示されたい。 四 ILO百八十一号条約非批准国であるドイツにおいてすら、「海外労働者採用におけるリクルートフィーの労働者負担禁止」を法で定めているが、政府はなぜドイツのような毅然とした姿勢を示せないのか、その理由を示されたい。 右質問する。 |