質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第二二九号

令和五年度の入管難民法改正後の動向に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年六月二十一日

牧山 ひろえ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   令和五年度の入管難民法改正後の動向に関する質問主意書

一 子どもの特別在留許可について

1 令和五年八月、入管庁は、送還忌避者のうち本邦で出生した子どもの在留特別許可に関する対応方針を明らかにし、当時の齋藤法務大臣が会見でその説明をした。

 この問題について私は、令和五年十一月九日の法務委員会で、その進捗状況を小泉法務大臣にお伺いし、また、進学や就職といったタイミングを逃してしまう可能性もあることから、速やかに進めて頂きたいと申し上げた。

 最終的に何人許可されたかについては公表するとの大臣の公約であるが、その後の進捗と、最終的な集約の予定などについて、最新の状況を示されたい。

2 令和六年三月五日、入管庁は「在留特別許可に係るガイドライン」を改定し、公表した。

 その中で、家族関係は、在留特別許可をするかどうかの判断において、重要な要素となり得るものであり、中でも、家族とともに生活をするという子の利益の保護の必要性は、積極要素として考慮されるとされた。令和五年八月に明らかにされた、送還忌避者のうち本邦で出生した子どもの在留特別許可に関する対応方針では、日本で出生していない子は対象に含まれないとされていたわけだが、この新たなガイドラインの運用が開始されれば、今在留特別許可が得られていない子どもたちの事情も積極的に考慮され、許可される可能性が生じうるのか。政府の見解を示されたい。

二 入管収容施設における医療体制について

1 令和五年八月に、大阪入管は、常勤の女性医師について、酒に酔った状態で勤務し収容者一人を診察したなどとして停職一ヶ月にしたと発表した。当該医師は退職したとのことである。

 この酩酊医師の事案が明らかになった際、この件に関する国会議員からの質問に対して、大臣を始めとする法務省側は、「訴訟の可能性がある」という趣旨の理由付けで、ほとんどの質問に関し、答弁を回避した。常勤医師は既に退職し、そもそも事案の発覚から何ヶ月も経過している。もはや先述の理由付けでは、答弁の回避を正当化することは出来ないと考える。当時答弁を回避した事実関係の調査・報告について、改めて回答を示されたい。

2 令和五年、「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案(第二百十一回国会閣法第四八号)」が可決・成立した。

 その中で、入国者収容所等における常勤医師の確保に資するため、国家公務員法等の特例を設けて入国者収容所又は地方出入国在留管理庁の職員である医師又は歯科医師の兼業の要件を緩和し、部外診療をしやすくすることとされた。

 この改正の効果について現状どのようにとらえているか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。