第213回国会(常会)
質問第二二六号 DV等被害者支援措置としての住民基本台帳閲覧制限等の期間制限に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年六月二十一日 牧山 ひろえ
参議院議長 尾辻 秀久 殿 DV等被害者支援措置としての住民基本台帳閲覧制限等の期間制限に関する質問主意書 DVの相談件数は、二〇二〇年度の総数で約十九万件(前年度の相談件数の約一・六倍)にのぼり、過去最多となっている。DV被害者の住所を加害者に知られないようにするため、「住民基本台帳事務処理要領」(以下「要領」という。)により、住所の閲覧を制限する制度(いわゆる「DV被害者等支援措置制度」)が設けられており、二〇〇四年から実施され十四万人以上が利用している。 加害者の恐怖から退避するためにそれなりに有効な措置であるが、問題は、要領が支援措置の期間を一年と制限している点である(第510カ)。この期間制限により、被害者が期間を延長する手続(第510キ)をとらなければ支援措置が終了する(第510クB)。 一年の期間制限を定めている根拠については、「被害の状況がケースごとにさまざまに変化し得る」「支援措置は特例的な扱いであるから、一定の期間を区切って状況等を確認することが必要」である旨の説明がなされている。 以上の経緯を踏まえ、以下質問する。 一 支援措置の期間を一年とした具体的な根拠を説明されたい。ここで求めているのは、期間に制限を設けた根拠ではなく、制限期間を一年と定めた合理的理由である。 また、上記に記載されている「例外なので、一定の期間を区切っての状況確認の必要性」についても、状況確認を行う一定の期間として一年が適切と考える根拠を示されたい。 二 むしろDVの場合、一年では解決に至っていないケースが多いのではないか。否定する場合にはその根拠を示されたい。 三 被害者にとっては一年ごとに役所等へ赴いて手続をとらなければならないことは精神的にも負担であり、フラッシュバックに苦しみ、支援措置の延長申請を諦める人もいるとのことである。 更新申請の際に、改めて警察や児童相談所での聞き取り対応を経由するケースも多いとのことであるが、過去の被害は変わらない。更新が必要と判断する場合にも、実質的な被害の確認等は省略することを推進すべきではないか。 四 公開の原則とDV被害者の救済を両立させるため、DV支援措置の期間として、一律一年とするのではなく、複数年も選択出来るように運用を改めることも検討すべきではないか。また、そのような検討をしたことはあるか。 五 DV支援措置の期間を一年という短期間にすると、自治体の業務負担が重いものになるのではないか。DV支援措置と業務量に関する現場の状況を示されたい。 右質問する。 |