第213回国会(常会)
質問第二二五号 健康増進法が定める「喫煙目的施設」の定義及び要件の明確化に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年六月二十一日 松沢 成文
参議院議長 尾辻 秀久 殿 健康増進法が定める「喫煙目的施設」の定義及び要件の明確化に関する質問主意書 健康増進法(平成十四年法律第百三号)は、第二十八条第七号において、「喫煙目的施設」を「多数の者が利用する施設のうち、その施設を利用する者に対して、喫煙をする場所を提供することを主たる目的とする施設として政令で定める要件を満たすものをいう。」と定めている。これを受け、健康増進法施行令(平成十四年政令第三百六十一号)第四条では、「喫煙目的施設」の要件として、①施設の屋内の場所の全部の場所を専ら喫煙をする場所とするものであること(同条第一号)、②施設を利用する者に対して、たばこを販売する者によって、対面によりたばこを販売し、当該施設の屋内の場所において喫煙をする場所を提供することを主たる目的とし、併せて設備を設けて客に飲食をさせる営業(通常主食と認められる食事を主として提供するものを除く。)を行うものであること(同条第二号)、③施設を利用する者に対して、たばこ又は専ら喫煙の用に供するための器具の販売(たばこの販売にあっては、たばこを販売する者によって、対面により販売している場合に限る。)をし、当該施設の屋内の場所において喫煙をする場所を提供することを主たる目的とするものであること(設備を設けて客に飲食をさせる営業を行うものを除く。)(同条第三号)を定めている。 さらに、この喫煙目的施設設置施設の管理権原者の責務等が同法第三十五条において定められている。そこで、これらの条文の要件を満たさず同法に違反した場合には、第三十六条において、都道府県知事等が喫煙目的施設設置施設の管理権原者に対して勧告、命令等を行うことができると定められている。 こうした中、令和二年四月に本法が全面施行されて以降、飲食を主目的とする居酒屋等が、喫煙場所の提供を主たる目的とする「喫煙目的施設」を標榜する例が多数発生し、都道府県及び保健所設置市区への情報提供や苦情が増加している。しかし、これに対し、既に述べた同法及び同施行令における「喫煙目的施設」の定義及び要件が曖昧であることから、都道府県知事等が、喫煙目的施設設置施設の管理権原者に対し、同法第三十六条で定める勧告、命令等を適切に行うことができない状況にある。そこで、以下質問する。 一 令和二年四月に本法が全面施行されて以降、飲食を主目的とする居酒屋等が、喫煙場所の提供を主たる目的とする「喫煙目的施設」を標榜する例が多数発生し、都道府県及び保健所設置市区への情報提供や苦情が増加している実態について、政府の認識を明らかにされたい。 二 要件を満たさない喫煙目的施設の管理権原者等に対しては、同法七十条以下において過料等の罰則が適用されることになる。しかし、「喫煙目的施設」の定義及び要件が曖昧であることから、都道府県知事等が、同法に違反すると思慮される施設の管理権原者等に対し、罰則へとつながる可能性がある勧告、命令等を行うことを躊躇している現状について、政府の認識を明らかにされたい。 三 飲食を主目的とする居酒屋等が、喫煙場所の提供を主たる目的とする「喫煙目的施設」を標榜する例が多数発生する中、都道府県知事等が、喫煙目的施設設置施設の管理権原者に対し、同法第三十六条で定める勧告、命令等を適切に行うことができない状況について、東京都や横浜市等は同法及び同施行令における「喫煙目的施設」の定義及び要件を明確化することを厚生労働省へ求めているが、この要望に対する政府の見解を明らかにされたい。 四 同法及び同法施行令の他、厚生労働省は、平成三十一年四月二十六日に、「改正健康増進法の施行に関するQ&A」(以下「Q&A」という。)を公表したが、喫煙目的施設に関する定義及び要件を補足する内容としては不十分であり、かつ、改正された同法が令和元年七月一日に一部施行されて以降、一度もこのQ&Aは更新されていない。その理由を明らかにされたい。 五 同法及び同施行令における「喫煙目的施設」の定義及び要件が曖昧であることから、「喫煙目的施設」を名乗りながら飲食を主目的とする居酒屋等の管理権原者に対し、都道府県知事等が同法が定める勧告、命令等を適切に行うことができないことに加え、対応する地方自治体によって、法令の解釈や運用が異なっていることも問題となっている。そこで、同法及び同施行令における「喫煙目的施設」の定義及び要件を、地方自治体への「通達」等により明確に示すべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。 右質問する。 |