第213回国会(常会)
質問第二〇三号 レプリコンワクチンに関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年六月二十一日 川田 龍平
参議院議長 尾辻 秀久 殿 レプリコンワクチンに関する質問主意書 令和五年十一月二十八日、新型コロナウイルス感染症に対するレプリコンワクチン「コスタイベ筋注用」(以下「コスタイベ」という。)について、明治ホールディングス社の事業子会社であるMeiji Seikaファルマ社が国内製造販売承認を取得した。同ワクチンは、米国のバイオ企業であるアークトゥルス・セラピューティクス社の技術を使用した次世代mRNAワクチン(レプリコンワクチン)として、世界で初めて承認されたものである。 レプリコンワクチンは、細胞内にmRNAが送達されると自己増幅されるよう設計されており、既存のワクチンよりも少ない接種量でワクチンの効果が持続することが期待されるとのことである。 しかしながら、医師など複数の有識者からは、レプリコンワクチンの安全性等に対する懸念も表明されている。今後レプリコンワクチンが定期接種に用いられることが想定されていることから、その現状、安全性等について、以下質問する。 一 レプリコンワクチンの有効性及び安全性について、その評価の内容を示されたい。また、想定される主な副反応について、従来型のmRNAワクチンとの軽重の比較を含めて示されたい。 二 コスタイベの承認申請資料として独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出された資料のうち、臨床的有効性及び臨床的安全性に関する資料では、多数の有害事象が報告されている。 特に、ベトナムで実施された海外第Ⅰ・Ⅱ・Ⅲa相臨床試験では、第Ⅰ・Ⅱ・Ⅲa相で認められた特定有害事象として、一回目接種後の本剤群において、解析対象者の七十四・五パーセントについて、疲労、筋肉痛、頭痛等の全身性の症状が見られた。また、同国で実施されたⅢb相臨床試験では、治療薬との因果関係は否定されたとしているものの、いくつかの死亡例が報告されている。こうした有害事象の報告は、コスタイベの安全性を評価する上で重大な懸念材料と考えられる。 そこで、コスタイベの有効性及び安全性に係る厚生労働省の最新の評価を示されたい。 三 コスタイベが米国バイオ企業の技術を使用しながらも、世界で初めて日本において承認された背景について示されたい。また、米国におけるコスタイベの承認状況について示されたい。 四 Meiji Seikaファルマ社は、既に進捗している福島県南相馬市での事業に加え、神奈川県小田原市の足柄事業所に、令和十年の稼働予定でワクチンの工場・倉庫を建設すると発表している。新工場の建設には、経済産業省の「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」の補助金が活用され、コスタイベの製造が予定されているとのことである。 政府は新工場が稼働する令和十年以降のコスタイベの製造計画、目標等を把握しているか示されたい。 五 海外におけるレプリコンワクチンの開発、承認、接種状況について示されたい。 六 政府は、令和六年度の新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の方針について、この秋冬から自治体による定期接種を始めるとしている。 令和六年五月二十九日、厚生科学審議会の「予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会」は、秋冬の接種に向け、用いるワクチンに含むウイルスの抗原組成の選択について、WHOの推奨の状況等に基づき、JN・1系統を使用することとした。 他方、Meiji Seikaファルマ社は、秋冬の接種に向け、厚生労働省やPMDA等と協議、相談しながら、必要な薬事手続、具体的には、新規変異株に対応したコスタイベの製造販売承認事項一部変更申請を行う意向を示している。 しかし、コスタイベの承認に当たっては、現時点での知見が限られていることから、製造販売後、副反応情報等の本剤の安全性に関するデータを、あらかじめ定めた計画に基づき早期に収集し、PMDAに提出し、本剤の適正使用に必要な措置を講じることとの条件が付されるなど、引き続き、有効性及び安全性に係る情報の集積が必要とされている。 厚生労働省は、Meiji Seikaファルマ株式会社からJN・1系統に対応したコスタイベの製造販売承認事項一部変更申請があった場合には、追加の臨床試験を課すことなく製造販売承認事項一部変更申請の承認を行うべきではないと考えるが、政府の対応方針を示されたい。また、一般に、新型コロナウイルス感染症のワクチンに係る新規変異株に対応した製造販売承認事項一部変更申請について、どの程度の審査期間を見込んでいるか示されたい。 七 令和六年度の新型コロナウイルス感染症に係る予防接種については、個人の重症化予防により重症者を減らすことを目的としている中、コスタイベ等のワクチンによる感染予防効果について、どのように評価しているか示されたい。 八 レプリコンワクチンを接種することにより産生されたmRNAやスパイクタンパク質が、エクソソームによって他の細胞へと伝播し、また、それが接種者の吐息などから非接種者に拡散され、何らかの影響を与えるシェディングと呼ばれる現象が発生する可能性を指摘する有識者もいる。 スパイクタンパク質の伝播についてこれまでどのような調査がされ、どのようなことが判明しているのか示されたい。また、他者への伝播の可能性について判明していないのであれば、判明するまでレプリコンワクチンの使用を中止するべきと考えるが政府の見解を示されたい。 右質問する。 |