質問主意書

第213回国会(常会)

質問主意書

質問第一九五号

特定非営利活動法人フローレンスをはじめとする派遣型看護サービスを提供する事業者の訪問先での費用請求において、二重請求を防止する措置が講じられているか否か等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和六年六月十九日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   特定非営利活動法人フローレンスをはじめとする派遣型看護サービスを提供する事業者の訪問先での費用請求において、二重請求を防止する措置が講じられているか否か等に関する質問主意書

 特定非営利活動法人フローレンス(以下「フローレンス」という。)は派遣型病児保育を柱に急速に業績を伸ばしてきた特定NPO法人である。当該事業者であるフローレンスは自主事業収益が全体の三十%、補助金事業収益が四十二%、寄付金収益が十八%、その他が十%であり、民間事業収入を公的事業収入が上回る公共性の高い事業者である。令和四年度において補助金収入は十七億円を超えるに至っている。直近五年間の業績推移はコロナ禍の影響をもろともせず営業収益は約十六%の増加、営業外収益はなんと約五倍に膨れ上がるという実績を誇っている。営業外収益とはいわゆる寄付のことである。営業外収益はフローレンスの収益全体の二十八%を占めるまでに大きくなっている。ようするにフローレンスの収益全体の約七十%が補助金と寄付である。インターネットで検索するとページの最上位から下部に至るまでスポンサーサイトとしてフローレンスの広告が表示され、懸命の企業努力が行われていることが窺われる。フローレンスのサイト内にも「NPOは寄付者や会員に利益を分配することを禁止されていますが、利益を上げることが禁止されているわけではありません。」と表示されている。

 このようにフローレンスは数多ある特定非営利活動法人の中でもトップランナーの一社であると言っても過言ではないと思われる。それらを踏まえて以下の通り政府の見解を問う。

一 国や自治体が事業者に交付する助成金と、自治体が同一事業者の利用者に利用料を助成する場合は、事業者はひとつの役務で二重の収益を得ることになり、役務の対価として相応以上となり、望ましくないのではないかと思料するが政府の見解を示されたい。

二 フローレンスでは心の不調がある母に伴走する訪問看護師を募集して、精神疾患を持つ母親とその子供への支援として精神科訪問看護事業を行っている。例えば、医療事務資格者ではなく訪問した看護師が訪問先で訪問看護費用の請求業務を行うことで請求に誤りが発生したり、利用料の負担が免除される利用者に誤って請求するミスが発生することが起きる可能性があり、これは二重請求に該当しうる。そのようなケースに備えて政府は事前に対策を盛り込んだガイドラインを作成するべきだと思料するが見解を示されたい。

三 派遣型を主とする公益なサービスを提供するフローレンスの補助金交付対象となっている事業に関して、その事業実態について確認作業は実施されているのか否か、あるいはフローレンスからの報告内容に関して、実態と差異がないか確認作業は実施されているのかどうか示されたい。派遣型看護サービスなどの現場での費用請求に関する包括的な規定やガイドラインを定めないと規模の大きな事業者ほど間違いが発生する可能性が高くなる。政府の今後の指針等があれば示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

  右質問する。