第213回国会(常会)
質問第一九四号 世界初の国際英語力調査であるPISA二〇二五FLAへの不参加と世界で活躍できる人材育成の教育政策に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年六月十九日 田島 麻衣子
参議院議長 尾辻 秀久 殿 世界初の国際英語力調査であるPISA二〇二五FLAへの不参加と世界で活躍できる人材育成の教育政策に関する質問主意書 文部科学省が「第四期教育振興基本計画」(令和五(二〇二三)年六月十六日閣議決定)において、各都道府県に対して「英語教育改善プラン」を引き続き策定することを求めている。また、ここで改善されるべき「英語力」は、同計画のなかで「CEFR」のレベル分けによってその達成度が指標化されているが、CEFRのレベル分けは日本独自のものではなく、国際的な英語教育の流れに沿った達成度指標として知られており、今後のグローバル化、世界で活躍できる人材育成の流れに合致した英語力指標である。 グローバル化で外国語教育の重要性が増しているとし、習熟度の分析を通じて各国の教育政策に活かす狙いがある。教育振興基本計画では、グローバル化に対応した素養・能力の育成に特化した「国際バカロレア」の高校への導入が目指されているが、グローバル人材育成戦略(平成二十四(二〇一二)年六月四日グローバル人材育成推進会議)には、グローバル人材が具備する要件の一つに「語学力・コミュニケーション能力」が挙げられている。国際バカロレアが導入された高校においては、世界で活躍できる人材によって国際的な場面で活用される「語学力・コミュニケーション能力」を反映した「外国語としての英語」が、従来の学習指導要領で意識されている「教科教育としての英語」とは別に育成されることとなり、両者が併存するという前提に立って英語教育改善プランが策定・実施されることを期待するところである。 また、経済協力開発機構(OECD)はこれまで継続的に学習到達度調査(PISA)を複数の国・地域の十五歳を対象に行ってきているが、二〇二五年に実施されるPISA二〇二五で初めて英語力の調査 PISA 2025 Foreign Language Assessment(以下「PISA二〇二五FLA」という。)を実施する。 しかしながら、日本はPISA二〇二五FLAに不参加とする方針をすでに決めている。令和五(二〇二三)年四月二十一日に行われた永岡桂子文部科学大臣(当時)記者会見ではその理由と今後の参加方針が述べられている。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 中等教育段階における生徒が身に付けるべき英語力の定義は、学習指導要領において定められているか示されたい。 二 日本の教育課程における中等教育段階の英語力をCEFR指標で示すものは、得られているのか。また、この指標が得られている場合に、中等教育段階の授業において、それらの指標を活用する方針が国の定める学習の基本方針に反映されているか示されたい。 三 現在の英語教育実施状況調査は、学校における外国語教育担当者の主観的な判断に基づき回答している。政府は、この手法の問題点は何であると把握しているか。また、調査手法の変更の要否についての政府の見解を示されたい。 四 国際的な視野で活躍するための資質・能力の育成が求められているなか、外国語としての英語の習熟度を国際的な視点から明らかにする調査の必要性が求められている。PISA二〇二五FLAに参加しないということであれば、日本の中等教育段階における外国語としての英語の定量的評価を経年的に行う仕組みを別に導入する必要があるが、その方針はあるか示されたい。 五 次回調査までに八年の間隔が空いたとしても、中等教育段階における外国語としての英語の習熟度の経年変化を国際的な視点から検討する方法の一つとして、PISA二〇二五FLAに参加する必要性があると考えるが、政府の見解を示されたい。 右質問する。 |