第213回国会(常会)
質問第一八五号 ヤフーニュースやLINEニュースなどニュースポータルサイトによるニュースの寡占化に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和六年六月十八日 浜田 聡
参議院議長 尾辻 秀久 殿 ヤフーニュースやLINEニュースなどニュースポータルサイトによるニュースの寡占化に関する質問主意書 令和三年二月に公正取引委員会は「デジタル広告分野の取引実態に関する最終報告書」を公表し、ニュースプラットフォームにおけるニュースコンテンツ利用の許諾料や検索サイトにおける表示順位に関しニュースメディア事業者から指摘のあった課題について取引条件の明確化や当事者間での適切な交渉の実施等が競争政策上望ましい旨を明示した。しかしながら、改善が進まないことからより実効性がある提言を行うために再び実態調査を行い、令和五年九月に報告書を公表した。公正取引委員会は同報告書において、ヤフーは取引先であるニュースメディア事業者との関係で優越的地位にある可能性があること、ニュースメディアサイトに一定の送客を行うインターネット検索を運営するインターネット検索事業者はニュースメディア事業者に対して優越的地位にある可能性があること、グーグル及びヤフーはニュースコンテンツを探す際に利用するサービスの市場において有力な事業者に該当する可能性があるということを指摘している。併せて、公正取引委員会は独占禁止法との関わりについて、一方的に著しく低い許諾料を設定し、又は、無償で取引することにより不利益を与える場合は独占禁止法上問題(優越的地位の濫用)となること、有力なインターネット検索事業者が自社のニュースコンテンツの表示を優先し他社のコンテンツの閲覧が不利となる配置を意図的に行った場合は独占禁止法上問題(競争者に対する取引妨害等)となるという見解を示した。以上を踏まえて次の通り政府の見解を問う。 一 民主主義の健全な発展を期すには取引等の公正性、透明性を高め、公正な競争環境の確保を図る必要がある。正当な競争施策上、LINEヤフーやGoogleが状況の改善を進めない場合は罰則の強化を含む独禁法の改正と適用を急ぐ必要あると思料するが政府の見解を示されたい。 二 ヤフーニュースやLINEニュースなどのニュースポータルサイトによってニュースの配信の寡占化が進む中、弱い立場に置かれがちなニュース提供者であるメディア各社を保護しつつ健全な民主主義の発展を維持するためにも早期に需給双方のネゴシエーションを整理しルール作りに取り掛かるべきであると思料するが政府の見解を示されたい。 三 スペインやオーストラリア、カナダなどではグーグルなどニュースポータルサイトの運営者に対してニュース提供メディアに対するニュース使用料支払いを義務付ける法整備を進め、ニュースポータルサイトの運営者は「誠実な交渉」「報酬額評価の透明性に必要な情報の通知」などの改善措置をまとめている。ドイツではドイツ特許商標庁から集中管理団体としての許可を受けた団体が報道関連の映像及び出版を対象に複製権、公衆送信権、プレス隣接権の集中管理を行っており、デジタルプラットフォームとの交渉、仲裁申立て等を行っている。日本においても同様の記事版ジャスラックのような公共性、公益性のある団体がニュース記事の著作権を集中管理できる仕組みを導入すべきだと思料するが政府の見解を示されたい。 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。 右質問する。 |